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ビジネス自動車でリハ「カーリハ」好評 オファサポート2020年2月27日07時05分

AIによる客観的・科学的な運転技能判断

 2006年4月創立の南九州自動車学校を運営するオファサポート(宮崎市、服部幸雄社長)は、住宅型有料老人ホーム、訪問介護、デイサービス、障がい児通所支援事業なども事業展開する。中でも独自開発のAIによる客観的数値に基づいた運転診断システム「S.D.A.P.」のほか、教習所併設のデイサービス「カーリハ&菜園デイみなみ」での自動車運転を含むリハビリで介護保険「個別機能訓練加算」を算定するなど、高齢者の運転能力判断や、自動車を使ったリハビリに注力している。背景には、自動車が生活必需品となる地方都市で運転免許の自主返納のハードルは高く、自動車運転をやめるべき判断を過不足なく、数値に基づいて適時に行う必要性が求められることがある。

「免許返納の判断基準」が必要

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 オファサポートの服部幸雄社長は「首都圏や関西圏、中京圏などの都市部と違い、宮崎で運転免許を返納することは、代替する公共交通機関の確保が難しいことから、ハードルが高い。また、速やかに運転免許の自主返納をしてほしい家族や身内と、まだ運転の自信がある本人の間で言い争いになるなど、簡単に進む話でもない」と説明する。

 ただ、認知症が疑われる高齢者の逆走や、高齢ドライバーが引き起こす事故が連日報道される中、喫緊の課題として、事故リスクの高い人に対しては運転を控えてもらう必要がある。そのためには、客観的で科学的な判断指標が求められる。

本人納得の免許返納のためにAI活用

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 そこで服部氏は、宮崎大学と協力し、AI(人工知能)を使った「S.D.A.P.(スマート・ドライビング・アセスメント・プログラム)」を開発した。

 このシステムは、運転者が専用の眼鏡を装着し、各種センサーが埋め込まれた自動車で、場内を約10分間運転してもらうことで点数評価がなされるもの。採点は衛星利用測位システム(GPS)による走行軌跡や、眼鏡を通じて運転者の目の動き、ハンドル、アクセル操作などで判断する。インストラクターの模範運転が取り込まれており、それに対する判断・操作ミスや遅れが減点対象となり、おおむね「マイナス500点まで」が運転可能の基準となる。

 この採点を基に「奥の交差点で飛び出す人がいましたけど、気づきました?」「3周目の信号の変化に反応が遅れましたね」などと、本人や家族・身内との間で話を進めることで、本人も納得して「運転を控えないといけないな」と免許返納に応じてもらえることも多いという。「宮崎県警もS.D.A.P.を使った客観的で科学的な判断指標に関心を寄せていただいている」と服部氏。

返納後の引きこもり・廃用症候予防にも

 こうしたAIを使ったシステム開発の狙いのもう一つに、高齢者の引きこもりや廃用症候防止があるという。「本人が納得のできないまま免許返納が強行された場合、自分が否定されたと塞ぎ込んで、引きこもり状態や廃用症候が進み、介護状態や認知症が進んでしまうことがあった。一方で、本人に納得できる形で自主返納をした人からは『どの移動手段を使おうかな』と前向きに受け止めをしてくれる人が多かった」と、本人の気持ちに寄り添ったフォローにつながると服部氏。

自動車教習所併設のデイサービス

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 14年6月開設のデイサービス「カーリハ&菜園デイみなみ」は、自動車教習所の敷地にある。教習所運営の特性を生かし、自動車運転の動作訓練や場内での実車運転を通じた「カーリハ」を提供している。同デイサービス支店長の井出佳子氏は「要介護1や2の軽度者の利用が多いが、要介護4の人も車に乗ると体が動かせるようになる例もあった」と話す。利用者は36~38人程度(1日定員20人)で推移している。

運転プログラム含むリハで「個別機能訓練加算」も

 介護保険者である宮崎市からは、実車運転を含むカーリハが「個別機能訓練加算」として認められるなど理解も広がっている。

 「カーリハ」(商標)は、自動車運転での「認知→判断→操作」の繰り返しに着目し、認知症予防と改善を目指したリハビリとして同社が開発したプログラムの名称。

 カーリハの流れは、運転再開を前提とした場合①頭の体操・机上検査②判断訓練・シミュレーターや検査機器使用③乗車降車の身体動作の訓練(日常生活でも応用可)④場内での実車運転⑤運転評価S.D.A.P.を使用した場内運転⑥場内で見極め運転⑦路上運転――の順で実施される。

 免許のない人でも教官が乗車するので、姿勢維持・座位・上肢・下肢の機能訓練ができる。脳梗塞などで麻痺のある人でも運転できる車も用意している。

 「運転ができるようになって、再就業する人もいた。教習所の外周をゆっくりと周回しながら、簡単な計算をする脳トレなどは、自動車教習所運営の併設デイサービスだからこそできるプログラム」と井出さんは誇らしげに語る。

自動車運転動作でADL維持・向上も

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 オリジナルの関節可動域訓練プログラムである「どらどらサイズ」は、作業療法士による自動車運転に必要なドア開閉やシート乗り込み、ルームミラー合わせなどを組み合わせたリハビリ体操。運転再開を前提としない場合でも、ADL改善など日常生活の獲得を目的としたリハビリを、日常的に慣れ親しんだ運転動作を通じて、楽しく実施することができる。

 広大な敷地の一角には家庭菜園もあり、職員や利用者が手伝いながら野菜栽培をし、食材として調理して食べることもできる。

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