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ビジネス東邦大大森病院 外来で介護食買えます2019年5月 9日07時20分

抜歯後の食事に

 東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)の口腔外科では、抜歯等の術後に普通食が食べにくい患者向けに、クリニコ(東京都目黒区、中林將宏社長)の介護食「やわらか亭」を販売している。自宅での安全な食事とともに、慣れない介護食の調理負担も軽減。診療後に注文すればその場で商品を受け取ることができ、診療費とともに物品としての会計も行える。

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 口腔外科が行う抜歯手術は月300本(人)程度。同科部長で歯科医師の関谷秀樹氏は「大半は外来での日帰り手術だが、術後は痛みが残るため食事面のアドバイスを行うことも多い」と話す。

 抜歯した穴の部分は1日ほどで血液が溜まり、塊(血餅)に。その後、肉芽組織を形成し、やがて骨組織となっていく。「特に、血餅で覆われる最初の2日間が極めて重要」と関谷氏。このときに強いうがいをしたり、傷口をいじったりすると血餅がはがれ、十分な治癒につながらない可能性があるという。

 もう一つの問題は、食べかす(残渣)が抜歯窩部分に入り込んでしまうケース。「噛む回数が多いと、それだけ口腔内の停滞時間が長くなり、残渣侵入のリスクが高まる。できるだけ噛まなくてよい食事が望ましい」(関谷氏)。

 ただ、独居の人や、今まで嚥下食の調理やとろみ調整をしたことがない人に「舌でつぶせる程度の軟飯」や「とろみをつけたおかず」と伝えても、自宅で実行できる人はそう多くない、と関谷氏。そこで目をつけたのが市販の介護食品だった。術後2~3日の主食に まず食事フォローが必要な患者へは、1枚チラシ「お食事ワンポイントアドバイス」を手渡し、やわらかい食事のポイントを説明。その上で、自分で調理することが難しいという人に対しては「やわらか亭」(クリニコ)を紹介する。

 同商品はユニバーサルデザインフードの「容易にかめる」または「歯ぐきでつぶせる」程度。やわらかいご飯と具材ソースのセットで、1品で主食がまかなえる。常温保存で、そのままでも温めても食べられるのが特長。「カレーライス」「麻婆丼」「牛丼」といった定番メニュー10種類をそろえる。

 関谷氏は「調理は具材のソースをかけるだけ。スプーンですくって舌や歯ぐきでつぶすだけで、栄養が摂取できる」と、その手軽さを評価する。

 同科では10種類中5種類を取扱い、朝・昼・夕の3食1セットが基本(1食500円)。平均的には2日分の購入者が多いそうだ。購入を希望する際は外来窓口で注文し、その場で商品を持ち帰る。

 歯ブラシや市販のうがい薬等と同様、電子カルテに付随した機能の「実費販売」項目(物販であり、自費診療ではないカテゴリ)としてオーダーできるのが特長の一つ。関谷氏は「そうすることで、院内の売店と違い、誰が何を買ったかを記録・追跡できる」と述べる。診療費とともに支払いができるのも利点。そして必ず抜糸の際に通院するので、食べたかどうかの確認や感想を聞き取ることもできる。

 抜歯手術を行う患者300人のうち、やわらかい食事が必要な患者は200人。その中で「やわらか亭」の購入はまだ14~15人(約7%)ほど。まだまだ提供できる余地はあると関谷氏は話す。

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高度急性期の嚥下対応は退院先への滑走路

 同院では入院患者の良好な栄養状態の維持へチームアプローチを行う「栄養治療センター」を設置しており、嚥下評価と嚥下調整食の提供、口腔ケアを徹底的に行う体制を整えている。

 具体的には「栄養サポートチーム」( N ST)と「嚥下障害対策チーム」の2チームで構成。関谷氏は嚥下チームのチーム長を務め、NSTも兼務する。

 まず、入院予定患者は全員、看護師のスクリーニングを必ず受ける。そこで嚥下障害が疑われると、病棟で嚥下内視鏡検査等の嚥下評価を実施。嚥下障害が認められた場合に、主治医を介して嚥下障害対策チームが介入する。

 入院予定患者のうち、スクリーニングで問題ありとなるのはおよそ月30人(3~5%)。加えて、入院時スクリーニングで問題はなかったが、入院中の食事で問題が発覚した場合も、改めて主治医が支援を依頼する。

 嚥下チームは毎週木曜日、認定看護師と歯科衛生士、歯科医師、そして関谷氏が総回診して方針を決め、チーム全職種(前述に加えて医師・管理栄養士・言語聴覚士)が集まる午後のカンファレンスに提示。その後の回診でリハビリテーションやケア計画を固める。

 口腔内の衛生状態に問題がある場合は、歯科衛生士が徹底的に口腔ケアを行い、誤嚥リスクを予防。また、嚥下食は日本摂食嚥下リハビリテーション学会基準に沿った7段階を用意し、退院・転院先には看護サマリーで具体的な基準を必ず説明することで、嚥下レベルの齟齬を防ぐ。

 「高度急性期でここまで対応するところは稀」と同氏。「誤嚥・窒息など、医療安全対策としての意味合いもあるが、それよりも摂食嚥下機能が安定した状態で退院させ、受入れ側が対応しやすくすることが重要。そのための滑走路を作っている」と強調する。

 4月からは嚥下の看護外来も開設。これまで目が行き届かなかった退院後のフォローや、同院かかりつけの外来患者にも嚥下相談の門戸を開く。

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