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ビジネスやまと診療所「在宅医療PA」を独自配置2017年6月28日07時05分

訪問診療に同行患者・家族の不安を軽減

0604yamato1.JPG 東京都板橋区の「やまと診療所(安井佑院長)」は独自の職種「在宅医療PA」を配置する取り組みで、現在注目を集めている在宅診療所だ。同診療所の在宅医療PAは医師と患者・家族、医師とケアマネジャーら他職種とを橋渡しする役割を担う。欧米などの「医師の監督のもと、医療行為を行う」PAとは全く異なる診療所独自の職種で、医療行為を行うことはない。

 同診療所が在宅医療PAの取組みを始めたのは3年ほど前。それまでは医師と看護師の体制で患者宅をまわっていたが、「多くの人にとって在宅診療はあまり馴染みがなく、不安や戸惑いを感じていることが多い。医師の診療だけでは、患者の在宅生活は支えられないと感じ始めました」と同診療所の在宅医療PAの一人、武藤公一郎さんは振り返る。

 武藤さんは1日12、13件の訪問診療に同行する。在宅医療PAの役割を大別すると①不安を抱える利用者・家族の意思決定支援②他職種への情報提供など、さまざまな環境調整――の2つ。武藤さんは「十分に医師の説明を理解できないまま、つい『わかりました』と答えてしまう人は少なくありません」と話す。医師がいない場で不明な点を尋ねると、「実は…」と切り出してくるケースも多いという。このように医師には直接言いにくい質問や相談を引き受けるのが在宅医療PAだ。「熱が上がったら薬を飲むように指示があっても、具体的に何度になったら飲めばよいのか、本人には判断がつきません」と武藤さんは指摘する。間に入って、医師に確認し、説明を補うことで、患者・家族が適切な対応や判断ができるようフォローする。

 やまと診療所の患者数はおよそ300人(2017年5月現在)で、看取り期の患者も多数抱える。しかし、夜間の医師の出動回数は月に10回程度で、「同規模の在宅診療所と比べるとかなり少ないはず」と武藤さん。「夜間出動の多くは不安によるもの。丁寧な説明を尽くすことで、その不安をあらかじめ取り除ければ、自然と減少するはずです」と強調する。

 やまと診療所の在宅医療PAは独自の職種のため、養成も同診療所で行う。カリキュラムは随時、見直しを図っているが、実際の患者10人が抱える課題を分析し、カンファレンスで発表するなど、患者・家族視点に立つ能力を重視する。

訪問診療後はケアマネへ情報提供

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 また医師とケアマネジャーなど他職種とのつなぎ役も在宅医療PAの重要な役割だ。訪問診療後、診療結果や患者・家族の状況などを、速やかに担当のケアマネジャー、訪問看護師などへ発信する。「当然ですが、医師が持つ情報は看護や介護にも非常に重要なもの。タイムリーに共有することで、足並みをしっかり揃え、在宅生活をチームで支えることができます」(武藤さん)。

 例えば、独居で一人では服薬が難しい患者で、医師からは朝と晩に服薬するよう指示があっても、費用的にヘルパーの利用をこれ以上増やせないといったケースも現場では珍しくない。こうした場合にも、在宅医療PAが医師との間に入って、服薬をヘルパー訪問時にまとめるなどの対応に切り替えるという。

 ケアマネジャーにとっても、多忙な医師との連携は特に難しく、「非常に助かる」との声が寄せられている。「連携がスムーズにとれてくると、在宅医療PAの出番はそれほど多くはありません。一方で、看取り期など迅速な対応が求められるときには積極的に連携を支援します」。必要に応じた柔軟な対応に徹する。今後は参加が難しい医師に代わり、サービス担当者会議に参加することも検討したいと話す。

 「いわゆる『赤ひげ先生』のようなカリスマ医師がいなくても、密に連携したチームであれば、地域の在宅の限界点は引き上げられるはず。チームを下支えする黒子として役割を果たしていきたい」と武藤さんは力強く語る。

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