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ビジネスパナソニックLS創研 現場改善プロが生産性指南2019年12月 9日13時24分

ムダを省いてより良いケアへ

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 パナソニックライフソリューションズ創研(大阪府門真市、岡村幸彦社長)は、パナソニックがモノづくりの現場で培ってきた、生産性向上や人事システムづくりのノウハウを、介護現場へも提供しようと、介護事業所・施設へのコンサルティングと研修事業を展開している。同社は、製造現場や人事畑に精通するパナソニックOBのコンサルタント約200人と契約。それぞれの豊富な経験から生産性向上に向けた的確なアドバイスを行う。同社上席コンサルタントの土井宣史さんに、介護現場での生産性向上への考え方について聞いた。

 私自身、長年に渡って照明器具などの製造現場に立ち、生産性向上に向けた現場改善に取り組んできた。生産現場では、古くから品質管理(QC)や生産性向上の概念が定着している。そこでは、労働者数や経費、原材料、燃料、機械設備などのインプットに対して、製品の生産数量・金額、売上金額、付加価値などのアウトプットをできるだけ大きくしようと考える。介護現場でも同じく、限られたスタッフができるだけ最小の労力で、より良い質のサービスを提供できることが理想であり、それが生産性向上と言えるだろう。

 介護現場に立つ皆さんは日頃、介護サービスの質や利用者の満足度を上げようと考えておられる。それを実現するには、今ある仕事に加えて新たな事柄にも取り組んでいかなければならない。

 しかし、限られた人材で投入できるエネルギーも決まっている中で、それらを全てこなそうとして、疲弊してしまっている面もあるのではないだろうか。

 そのため、介護現場で生産性向上というと、それを達成するために新たな負担が発生し、結果として「労働強化」につながるのではと心配されてしまうこともある。

 しかし、そうではなく、もっと良いサービスを、今よりも楽に(業務負担を軽くして)提供するために、何が必要か一緒に考えましょう、と我々は説明している。

「間接介護時間」で効率化を

 日常の介護業務を、食事・入浴・排泄介助やコミュニケーションなど、介護職員が本来の専門性を発揮し、利用者に直接働きかける業務と、そうでない間接的な業務に大きく分けてみる。

 前者にかかる時間を「直接介護時間」とする一方、食事や入浴などの準備、計画作成や記録、巡回など、直接利用者に関わらない「間接介護時間」をできるだけ短くし、その分を直接介護時間に充てることで、より良いケアを目指せるのではないか。

 間接介護時間を減らすには、業務での「ムリ・ムラ・ムダ」を見つけて、一つずつつぶしていくことが大切だ。

 例えばある施設で、食事を提供する際の業務を改善できないかという声が挙がった。そこで職員の動きを観察し、職員一人あたりの歩行距離を算出してみると▽利用者がテーブルに着いてから、お茶を汲んで配るのに38m▽食事を配膳するのに219m▽食後に居室まで介助するのに56m――で、総移動距離は職員一人あたり313mとなった。

 その動きを見ると、職員が同じ場所を何度も行ったり来たりしていて、動きに「ムダ」があるように捉えられた。そこで分析を行い、お茶を汲む場所や配膳車の位置を工夫するなどして、職員の動きを少しでも「一筆書き」のようにすれば、総移動距離が125mに短縮できると算出した。

 時間にすれば、配膳は約170秒、食事後の移動介助も分担すれば約135秒、それぞれ短縮でき、これにより1回の食事介助で約5分、1日3回でのべ約15分の時間が創出できると想定された。このデータを前提に、現場で取り組みが進められ、間接介護時間の短縮が図られた。

日々の「気づき」を大切に

 生産性向上に向けたコンサルティングでは、まず法人の代表者に、事業所・施設がどのようなケアを実現したいのかを確認する。その上で、事業所が目指すケアを実現するため、具体的にすべきことを探っていく。

 職員には、日頃の業務で「ここは改善できるのでは」と感じた事柄を挙げてもらう「気づきシート」を書いてもらう。 それを基に、コンサルタントが現場に入り職員にヒアリングしたり、各職員の業務での動き方を10分単位で分析するなどし、特に「間接介護時間」におけるムリ・ムダ・ムラを洗い出していく。その結果、どの業務でどのような見直しに取り組めば、間接介護時間が短縮できるかを提案し、実際に取り組んでもらい、その進捗を確認しながらフォローしていく。

 職員が業務での細かな「気づき」を日頃から集め、それを基にケア改善に向けた方策を打ち出し、具体的に取り組んでいくというサイクルを、自発的に回せるようになることが最大の目的であり、その感覚が現場に根付くよう、親身にお手伝いしていく。(談)

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