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ビジネス介護現場の生産性向上GL公表2019年4月11日07時05分

「課題の見える化」ツール活用でムリ・ムダ・ムラ洗い出し

 生産年齢人口の減少、介護需要増加は今後ますます進んでいく。そうした中、厚生労働省は3月に介護現場での生産性向上ガイドラインを策定、公表した。ガイドラインでは、「介護の質を向上しつつ、急増・多様化する介護ニーズに的確に対応できる」とし、介護現場へ生産性向上に取り組む意義を訴えている。

介護の生産性向上=介護の価値を高める

 ガイドラインの正式名称は「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」。厚労省が昨年度実施した事業の成果物だ。全国50カ所の介護事業所に経営コンサルタントを派遣し、ガイドラインのテスト版を作成。テスト版をモデル事業所で試用し、事業者団体へのヒアリングも重ねて完成させた。居宅サービス版、施設サービス版、医療系サービス版の3種類があり、それぞれ事業者が業務改善に取り組む手順やツールのほか、モデル事業所の事例などをまとめている。同ガイドライン(居宅サービス版)では介護サービスの生産性向上を「介護の価値を高めること」と定義。生産性向上に取り組む意義として、▽人材育成▽チームケアの質の向上▽情報共有の効率化――の3点を挙げ、サービスの質向上や人材定着・確保を目指すものとした。

 生産性向上に取り組むことで、ケアに直接関係する業務時間や内容を充実する「質の向上」、ムリ・ムダがある作業や業務時間を減らす「量的な効率化」といった成果が得られると説明(図)。また具体的な生産性向上の取り組みについて、①職場環境の整備②業務の明確化と役割分担③手順書の作成④記録・報告様式の工夫⑤情報共有の工夫⑥OJTの仕組みづくり⑦理念・行動指針の徹底――の7つに分類している。

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「気づきシート」「業務改善調査票」支援ツールも紹介

 実際に、事業所が生産性向上のための改善活動に取り組む手順も示されている(表)。特にポイントとなりそうなのが、取り組みのスタートとなる「現場の課題の見える化」だ。ガイドラインでは、日常業務の中のムリ・ムダ・ムラを見つけるための作業として、業務時間調査や「気づきシート」「因果関係図」の活用などを推奨している。

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 業務時間調査は勤務時間中、10分ごとにその時行っている業務を記録する。実際に業務時間調査に取り組んだ認知症グループホームでは、特定の職員への業務の偏りや事業所内の同じ場所に固まったり、不在になったりすることが減少。業務分担の明確化や負担の平準化に取り組み、利用者との会話やリハビリに取り組む時間が5倍になったという。

 さらに課題の洗い出しでは、職場で普段抱えている課題について「気づきシート」を職員に記入してもらい、その内容を▽記録業務▽間接的業務▽人材育成▽コミュニケーション――など大まかにグループ分けする。グループ分けをすることで、職員が課題に感じていることがどこに集中しているかが見える化されるという。

 その後、課題を原因→結果→悪影響の順に矢印でつなぎ、「因果関係図」を作成することで、重複が多い課題やより広い領域に関連している課題など、率先して取り掛かるべき優先順位をつけやすくなる。

 ガイドラインでは、複数の課題に同時に取り組むのではなく、優先度の高いものから一つずつ丁寧に取り組むべきと指摘している。また、気づきシートや業務時間調査票などのひな型も支援ツール集としてガイドラインに収録されている。

 今後は、事業者団体などを通じて現場での活用を促す。3月11日、都内で開催された「介護分野における生産性向上協議会」では、各団体を代表して全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会、日本在宅介護協会が登壇。

 日本在宅介護協会・香取幹常任理事が「昨今の厳しい介護経営を解消する一手として、多くの事業所に横展開し、利用者の在宅生活を継続できるよう取り組んでいく」と述べるなど、生産性向上の取り組みが業界全体に広がるよう注力していくと宣言した。

 各ガイドラインは厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00013.html)で公開されている。

「今年度もブラッシュアップ 介護の価値向上が目的」

厚生労働省老健局振興課・宮本和也係長

0424seisan3.JPG 生産年齢人口の減少、介護需要増加は今後ますます進んでいく。そうした中、厚生労働省は3月に介護現場での生産性向上ガイドラインを策定、公表した。ガイドラインでは、「介護の質を向上しつつ、急増・多様化する介護ニーズに的確に対応できる」とし、介護現場へ生産性向上に取り組む意義を訴えている。

 そもそも「介護サービスにおける生産性とは何か」と思う事業者も多いかもしれない。本ガイドラインでは、生産性向上を「介護の価値を高めること」と定義している。業務改善の結果、利用者への直接的なケアにかけられる時間をより確保したり、残業時間が減るなど職員の処遇改善に繋がったりというイメージだ。介護の価値を高めることで、サービスの質も高まり、人材の定着や確保につなげていく。そうした目標に向け、ぜひガイドラインを活用していただきたい。詳細な検討はこれからだが、今年度も引き続き、「介護事業所における生産性向上推進事業」に取り組む予定だ。得られた成果は、ガイドラインに反映することで、さらにブラッシュアップを行う。ガイドラインの現場での普及や活用については、事業者団体が主体となるが、厚労省でも引き続き、必要な支援を行っていく。

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