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21年改定 データ活用やアウトカム評価、色濃く

21年改定 データ活用やアウトカム評価、色濃く

 4月施行の介護報酬改定の柱の一つが「自立支援・重度化防止の推進」だ。今改定では、「質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進」と強調されている。介護データベースとして運用が始まっているCHASE・VISIT(4月より「LIFE」として一体運用)について、全事業所へデータ提出や、国から提供されるフィードバック情報をサービスへ活用することを推奨する。推奨だけでなく、多くのサービスや加算にも紐づけることで、介護のデータ収集やビッグデータを活用した「科学的介護」を推進したい考えだ。

全事業所にCHASE・VISIT活用推奨

 介護関連データの収集と活用、PDCAサイクルによる科学的介護を推進する観点から、全ての事業所にCHASE・VISIT(今年4月から統合し、LIFEに名称変更)へのデータ提出とフィードバックの活用を推奨する。通所系サービス、多機能系サービス、居住系サービス、施設サービス(介護療養病床を除く)には、事業所の全利用者のデータをCHASEに提出し、フィードバックを活用することで算定できる「科学的介護推進体制加算」を新設。例えば通所系、多機能系、居住系サービスであれば、利用者1人につき40単位/月が算定できる。また、個別機能訓練加算など多くの加算にも紐づけ、同様にデータ提出、フィードバック活用を満たすことで、より報酬の高い区分を設けた。

 今後、介護記録ソフトとのデータ連携を進めて再入力を不要としたり、LIFEの新システムに入力すれば加算算定に必要な計画書なども同時に作成できる仕組みをつくり、入力などにかかる現場の負担を減らしていくと国は説明している。

ADL維持等加算の単価10倍に

 また、前回改定で新設されたADL維持等加算、排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算など、自立支援・重度化防止を目指す加算の拡充や新たな加算も設ける。

 ADL維持等加算は要件の緩和や対象を拡大しつつ、単位数も10倍に引き上げる。バーセルインデックスを指標にADLの改善度合いを評価するアウトカム評価として、2018年度改定でも注目を浴びたが、ふたを開けてみると月3単位(Ⅰの場合)という評価と機能訓練に力を入れる短時間型デイでは実質算定できない要件が設定され、昨年4月時点で全体の2%ほどしか算定されていなかった。今回の改定では、「5時間以上の通所介護費の算定回数が5時間未満の算定回数を上回る利用者の総数が20人以上」を単に「利用者の総数が10人以上」に大きく緩和。「評価対象利用期間の初月において要介護度3以上の利用者15%以上」「評価対象利用期間の初月の時点で、初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内が15%以下」といった要件も廃止する。さらに特養、特定施設入居者生活介護、認知症デイでも算定できるように対象を拡大する。

アウトカム評価を拡充

 施設サービス(介護療養病床を除く)の褥瘡マネジメント加算と排せつ支援加算は算定限度の要件を廃止する。褥瘡マネジメント加算は「3月に1回を限度」、排せつ支援加算は「6月を限度」とそれぞれ要件が設定されていた。さらに、区分を分けて状態改善の結果をより高く評価する。褥瘡マネジメント加算では「褥瘡リスクがあると評価した入居者の褥瘡が発生していないこと」を、排せつ支援加算は「入所時と比較して排尿・排便を悪化させず、少なくとも一方は改善」「おむつ使用有から使用なしに改善」といった成果を評価する。さらに、両加算とも看護小規模多機能型居宅介護を対象に加える。

 また施設サービス(介護療養病床を除く)の新加算として、「自立支援促進加算」(300単位/月)が創設される。医師が入居者を医学的に評価し、多職種協働で策定した自立支援計画に従ったケアの提供を評価する。

(シルバー産業新聞2021年2月10日号)

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