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2018年制度改正介護医療院が与える介護保険財政の影響2017年9月20日07時00分

医療療養病床転換は総量規制の対象外

 来年度、介護保険の新たな施設サービスとして介護医療院が創設される。厚生労働省は8月10日、介護療養病床、医療療養病床から、介護医療院などに転換する場合は総量規制の対象にならないと各自治体に通知した。医療保険適用の医療療養病床からの転換が介護保険財政を膨張させかねないと懸念する声もあがっている。

療養病床、転換老健の転換必要定員に含めず

 今年5月の改正介護保険法の成立により、日常的な医学管理や看取り・ターミナルケアなどの医療機能と生活施設としての機能を兼ね備えた、介護医療院が来年度に新設されることが決まった。慢性期の医療・介護のニーズを持つ高齢者を対象とする。併せて、今年度末に廃止が予定されていた介護療養病床の廃止期限は6年間、再延長された。事業者は23年度までに、介護医療院などへの転換を進める必要がある。

 厚労省が8月10日に発出した事務連絡「第7期介護保険事業(支援)計画における療養病床、介護医療院等の取扱いに関する基本的な考え方について」では、療養病床の転換分は、いわゆる総量規制の対象外となることが示された。介護保険法94条では介護保険施設などについて、計画上の必要入所(利用)定員総数を超える場合、自治体の指定拒否を認めており、総量規制と呼ばれる。

 事務連絡では、介護療養病床、医療療養病床の転換による定員の増加分は、第7期計画での必要定員総数に含まないため、「総量規制は基本的に生じないものと考えられる」と記載された。計画に関わらず、自治体は転換を拒否できない。療養病床だけでなく、06年7月以降に療養病床から転換した老健も総量規制の対象から外れる。一方、介護医療院を新設する場合は、他の施設サービスなどと同様に総量規制の対象となるとした。

自治体 転換意向を調査

0928topix.jpg また、事務連絡では各自治体が今後策定する第7期計画で、新設の介護医療院は他の施設サービスなどとは異なる方法によって、ニーズを把握し、必要入所定員などを設定する必要があると指摘。具体的には「都道府県の慢性期の医療・介護ニーズをもとに、療養病床からの転換を優先したうえで、市町村と都道府県の連携により、事業者の参入移行などを把握して設定することが考えられる」とした。同省は療養病床の転換意向の調査票例も示している(表1)。18、19、20年度末時点、介護療養病床が廃止される23年度末時点に、どのサービスにどれだけ転換している予定かを尋ねる。未定と回答した事業者には、①医療保険の病床②介護保険施設(介護医療院を含む)③①と②を組み合わせる④病床を廃止する――の選択肢を示し、おおまかな意向を聞き取る。

 しかし、同時報酬改定の議論が中盤で、新設の介護医療院は具体的な報酬や基準も決まっていない中で事業者が判断するのは難しい。厚労省は、「今回の回答でもって、今後の方向性を制約することはなく、あくまで現時点の検討状況として回答いただくもの」としている。

「医療保険の病床が介護保険に流れてくる」

0928topix2.jpg 介護療養病床と介護医療院について審議された8月4日の社会保障審議会介護給付費分科会では、大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長、高松市長)は、「介護療養病床から介護医療院への転換は介護保険の中での話だが、医療療養病床からの転換は介護保険のサービス量が増加し、保険料や財政負担が増大する」とし、医療保険適用の病床が介護保険に流れてくることで、介護保険財政や保険料負担が膨らむことを危惧した。東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)も同様の懸念を示し、医療療養病床よりも介護療養病床の転換を優先し、財政の激変を招かないよう求めた。武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)も「小さな町の病院がいきなり100床を介護医療院にすれば、その町の介護保険料は一気に膨らむ。隣町とで保険料が倍違うといった社会問題にもなりかねない」と指摘した。

 介護医療院の基準・報酬について、「療養病床のあり方等に関する特別部会」が基本設計をまとめている(表2)。同日の給付費分科会では、「円滑な転換を図るためには魅力ある選択肢でなければならない。また建て替えまでは既存の設備で移行できるなどの経過措置が必要」(鈴木邦彦委員・日本医師会常任理事)、「介護医療院(Ⅱ)の基準は老健施設相当以上とされているが、求められている役割を果たすには老健プラスアルファが必要。介護療養型老人保健施設並みを最低基準とすべき。また看護、介護職員は医療機関との兼務を認めるべきでない」(齋藤訓子委員・日本看護協会副会長)、「現行の報酬をただスライドするのではなく、重篤な疾患などを対象とする(Ⅰ)と比較的安定した(Ⅱ)でメリハリをつけるべき。円滑な転換が必要だが、税制上の優遇や改修費に地域医療介護総合確保基金を活用するなど、報酬以外の方策もある」(小林剛委員・全国健康保険協会理事長)などの意見が挙げられた。

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