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2018年制度改正改正介護保険法国会上程 市町村にインセンティブ2017年3月10日07時00分

 政府は2月7日、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同日、国会に提出した。同法案には、保険者の地域密着型通所介護の指定拒否や「介護医療院」の創設、利用者負担を3割にする案や、2号保険料の総報酬割の導入などが盛り込まれている。政府としては、地域包括ケアを実現させていく一方で、高齢者に応分の負担を求め、制度の持続可能性を維持していく考えだ。

 法案は大きく「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」の2つの観点を元に、①自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化②医療・介護の連携③地域共生社会の実現④所得の高い層の負担割合を3割⑤介護納付金への総報酬割の導入――の5つの柱からなる。

 ①保険者機能の強化では、全市町村が保険者機能を発揮して、自立支援・重度化予防に取り組むよう、▽介護保険事業計画の策定にあたり、国から提供されるデータ分析を実施▽介護保険事業計画に介護予防・重度化防止などの目標を記載▽要介護状態の維持・改善度合いや地域ケア会議の開催状況などの実績評価▽結果の公表――のPDCAサイクルを法改正によって制度化し、保険者機能を抜本的に強化していく考えだ。

 さらに、実績評価に応じて交付金を出すなど、財政的なインセンティブを付与することも法案に盛り込まれており、保険者機能を自治体間で競わせる仕組みとなっている。介護予防・日常生活支援総合事業なども全保険者で完全実施されていく中で、2018年度以降、介護における市町村格差が広がっていく流れになりそうだ。

 サービス供給への保険者の関与の観点からは、急増する地域密着型通所介護について、小規模多機能型居宅介護などの普及を進める観点から、介護保険事業計画で定める見込量に達しているなどの場合は、市町村が指定を拒否できる仕組みも盛り込まれている。

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施設サービス類型に「介護医療院」

 ②医療・介護の連携では、17年度末に廃止期限を迎える介護療養病床の新たな転換先として、介護保険施設サービス類型の中に、新たに「介護医療院」を創設する。これに伴い、介護療養病床の廃止期限も、移行期間として6年間延長となる。「介護医療院」は、要介護者に対し、「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する施設で、地方公共団体や医療法人、社会福祉法人などの非営利法人などが開設主体となる。具体的な基準や報酬は、今後、介護給付費分科会の場で検討される。

 このほか、医療と介護の連携では、15年度から地域支援事業の中に位置付けられた、在宅医療・介護連携推進事業について、国が実態把握や課題に応じた施策立案の方法を具体化し、18年度からの完全実施を求めていく。

障害・高齢サービスを一体的に提供

 ③地域共生社会の実現では、介護サービスと障害福祉サービスを一体的に提供する「共生型サービス」を、介護保険サービスの一類型として新たに創設する。

 障がい者が高齢者となり、介護保険の被保険者になった場合、介護保険優先の原則があるため、それまで利用してきた障害福祉サービスとは別の、介護保険サービス事業所を利用しなければならいケースが増えてきているため、障害福祉事業所が介護保険事業所の指定を受けやすくする。

 具体的な指定基準のあり方については、介護報酬改定の場で検討が行われるが、厚労省では①ホームヘルプサービス②デイサービス③ショートステイ――の3サービスを対象にしていく考えだ。

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年収340万円以上、3割負担に

0301houan.jpg 制度の持続可能性を高める観点から、介護保険の利用者負担を現役並み所得者について3割に引き上げる案も盛り込まれた。

 具体的な基準は、法案成立後に政令で定められることになるが、厚労省案では「合計所得金額が220万円以上」、かつ「年金収入+その他合計所得金額が340万円以上」(2人以上世帯の場合は463万円以上)。対象となるのは、世帯単位ではなく個人単位で、介護保険利用者のうち、およそ12万人(全体の約3%)が該当する。施行時期は18 年8月からとしている。

総報酬割、8月から段階的導入

 ⑤介護納付金への総報酬割の導入では、40歳から64歳の人が支払う2号被保険料について、これまでの「加入者の数に応じた負担」から、「報酬額に比例した負担」に改める。これにより、加入者の数が少なく総報酬の高い健保組合などの医療保険者の負担は重くなり、協会健保のように加入者の数が多く、総報酬が高くない医療保険者の負担は軽くなる。

 導入にあたっては、激変緩和を図る観点から、段階的に施行していく。具体的には今年8月から2分の1、19年度から4分の3、20年度から全面実施となる予定。厚労省の試算では、全面実施になった場合、「負担増」となる被保険者は1,300万人、反対に「負担減」になる被保険者は1,700万人としている。

 政府としては、今回の改正法案で地域包括ケアを実現させていく一方で、高齢者に応分の負担を求め、制度の持続可能性を維持していく考え。今国会での早期成立を目指している。

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