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2018年制度改正介護保険部会 通所介護、通所リハ統合求める意見も2016年9月12日08時45分

 厚生労働省は8月31日、社会保障審議会介護保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大学教授)を開催し、「ニーズに応じたサービス内容の見直し」について審議した。通所介護と通所リハビリの役割分担・機能強化、定期巡回サービスなどの普及、特養の重度者対応、地域共生社会実現に向けた地域包括支援センターの役割などが論点となった。さらに被保険者範囲の拡大も議題とされたが、委員からは時期尚早など慎重な意見が相次いだ。

 ニーズに応じたサービス内容の見直しでは、①リハビリテーション機能の強化②中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化③安心して暮らすための環境の整備④地域共生社会の実現――の4項目でそれぞれ論点を示し、委員からの意見を求めた。

 ①のリハビリテーション機能の強化では、通所介護と通所リハが今後、どのように役割分担と機能強化を図るべきかが論点とされた。事務局はリハ専門職の配置、利用者の基礎疾患や期待する改善目標、リハビリ・機能訓練による日常生活自立度や要介護度の変化などで、両サービスの差異がある一方、利用者の要介護度やケアプランの目標、利用時間、訓練の内容では類似していると説明した。

 これに対して委員からは、「通所系サービスとして統合し、リハビリや重度者対応などの機能は報酬上の評価を上乗せする仕組みに改めてはどうか」(齋藤訓子・日本看護協会常任理事)と機能分化ではなくサービス類型の再編を検討すべきとの主張がある一方で、「医療機関や老健のみが開設できる通所リハと通所介護の一体化は困難。それぞれの質の評価が重要」(鈴木邦彦・日本医師会常任理事)との意見もみられた。

 ②中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化では、小規模多機能、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回サービスの普及を論点に掲げた。国は地域包括ケアシステム構築に向け、これらのサービスの普及に力を注ぐ。前回の改定でも一部要件緩和を行ったが、利用実態は国が描くようには進んでいない。

 委員からは「地域ケア会議の場でモデル事例をケアマネジャーなどに紹介することにより、要介護3以上の定期巡回サービスの利用率が全体の2割強となった市町村もある」(馬袋秀男・民間介護事業推進委員会代表委員)や「サービスに対しての理解が市町村によって差がある。市町村の支援を促すために、国や都道府県の情報提供を進めるほか、保険者への個別対応も必要。例えば地域支援事業の在宅医療介護連携推進事業のメニューに市町村職員の研修を位置付けてはどうか」など、市町村の積極的な関与とケアマネへの周知が必要とする意見があった。

 ③安心して暮らすための環境の整備では、特養の重度化対応が論点とされた。特養は昨年4月に新規入所が原則要介護3以上に限定、看取り介護加算も拡充された。委員からはさらに特養の重度者対応を強化するため、医療提供体制の見直しを求める声が挙がった。「配置医の業務と報酬の見直し、外部医師の関与のあり方について検討を行うべき」(鈴木邦彦委員)、「訪問看護などの医療系サービスが外部から提供できる仕組みを検討すべき」(齋藤訓子委員)。一方で、全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員長の桝田和平氏は、「介護職員が一定の研修のもと実施できる医行為の範囲を拡大することで、より高い医療ニーズにも対応できる」と強調した。

 このほか未届けホームや前払い金の保全措置が義務付けられていない有料老人ホームへの対策も論点として示された。

 ④は地域共生社会の実現に向けた、地域包括支援センターの総合相談支援や市町村に配置される生活支援コーディネーターの取り組みが論点となった。厚労省は今年7月に地域共生社会の実現本部を設置。「丸ごと」の総合相談支援の体制整備を進めていく必要があるとしている。

 「高齢者だけなく、障がい者や子育て世帯などを含めた地域包括ケアシステムの構築は重要。ただし今は、地域包括支援センターが総合事業への移行準備などで手が回らない。現場の実情に配慮しながら、段階を踏んで進めるべきだ」(大西秀人・全国市長会介護保険対策特別委員会委員長)、「地域包括支援センターが現行業務に加えて、障がい者や子育て支援に取り組むためには新たな人員の配置が必要になる。生活支援コーディネーターを活用すべき」(鈴木邦彦委員)など、地域包括支援センターの負担増を懸念する声があがった。

被保険者範囲の拡大は「時期尚早」

 また今回は、介護保険の被保険者の範囲も俎上にのぼった。厳しい財政状況を背景にこれまでも検討がされてきたが、実現に至っていない。この日も第2号被保険者の対象を引き下げ、40歳未満から保険料を徴収することに「現時点では時期尚早」など慎重論が大勢を占めた。「被保険者の年齢を引き下げるほど、給付と負担の関係は薄くなる。まずは給付の重点化や効率化、自己負担のあり方の見直しが先決」(岡良廣・日本商工会議所社会保障専門委員)、「さきに特定疾病に限定されている第2号被保険者の受給要件を撤廃しなければ、若い世代の納得感を得られない」(齊藤秀樹・全国老人クラブ連合会常務理事)など、受給可能性の低い若年層に保険料を負担する理解が得られないとの意見が続出した。このほか障害福祉制度との合流についての課題を指摘する声や国民的議論が必要なテーマとの意見もあがった。次期改正での実施は非常に難しい状況といえそうだ。

 同部会は次回より2巡目の審議がスタートする。年末のとりまとめに向けて、より具体的な検討が行われる。

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