ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

「自分に勝つ」気持ちが記録を伸ばす(後半) 早田卓次/鈴木大地

 

「自分に勝つ」気持ちが記録を伸ばす(後半)  早田卓次/鈴木大地

 各都道府県を勝ち上がったシニアのトップアスリートがしのぎを削り、交流するねんりんピック。日々の鍛錬はもちろん、試合ではここ一番の集中力・精神力が勝負の分かれ目となる。本紙では和歌山大会開催を記念し、スポーツ庁・鈴木大地長官と和歌山県出身のオリンピック金メダリスト・早田卓次さんに登場いただき、共に金メダル獲得のエピソード、またスポーツの普及による健康づくりについて語っていただいた。

 対談の前半では、世界で戦うことの意義について話しました。後半では、トレーニングの意義と健康づくりについて考えます。
 ■前半: 世界で競技する意義 
 ■後半: 「バサロ」を生んだトレーニング 他 (本ページ)

「バサロ」を生んだトレーニング

 ――早田さんは中学から体操を始めたそうですね。どのような練習でしたか。
 早田 中学・高校は屋外でした。マットや跳び箱を持ち出して、砂場を掘るなどして。指導者はいません。それが当たり前と思っていましたので、大学入学後は、体育館の練習が嬉しくてたまりませんでした。
 ――確かソ連式のトレーニングを実践されていた。
 早田 「ザリアツカ」(充電トレーニング)です。朝起きて朝食前に、バランス運動や逆立ちなどのメニューを30分~1時間程度こなします。「ザリアツカを完璧にマスターしなければ一流にはなれない!」とコーチに半分騙されていたようなものです。
 鈴木 限られた環境なりの練習方法を工夫するしかないですね、いつの時代も。私の場合、普段の練習は25mプールで、50mプールで泳げるのは年に1~2カ月程度でした。例えるなら、フットサルコートで練習してサッカーの試合
に出るようなものです。
 ――でも、そこからあの「バサロ」が誕生しました。
 鈴木 朝練習では必ず潜水をやります。25mを8本、50mを4本、そして最後に100m。100mは泳ぎ切れないこともあります。ここに通常練習が加わるわけです。
 極限まで追い込むと、自分は水中生物じゃないかという感覚にもなりました。現役引退後しばらくは、プールサイドに立っているほうがつらかったです。
 早田 水泳は健康にとても良い。少し膝を痛めているので、リハビリを兼ねてプールで少し泳ぐのと水中歩行をしています。週3日ほどです。今は間違いなく鈴木さんより泳いでいますね(笑)。
 鈴木 今年、日本で開催されているラグビーワールドカップでも、合宿地にプールの設置が規定されています。他のスポーツにもトレーニング・療法の一環として水泳が認められているのです。
 水泳は全身運動ですので、健康目的でも、今までスポーツをしたことがない人におすすめです。水中歩行だけでも無理なく続けられます。
前東京五輪 金メダリスト 早田卓次氏

前東京五輪 金メダリスト 早田卓次氏

(はやた・たくじ)
 日本オリンピアンズ協会理事長。1940年和歌山県田辺市生まれ。63年日本大学卒。1964年東京オリンピック体操団体総合、種目別個人つり輪で金メダル。89年日本大学教授。2004年国際体操殿堂入り。2019年旭日小綬章受章。

楽しく・目的をもってスポーツを

 ――79歳の早田さんは今も朝の運動が日課。
 早田 ザリアツカの名残でしょうか。今は膝を痛めて中止していますが、朝はまずジョギングから始めます。その後に公園で倒立。指や肩甲骨への刺激を意識しています。
 鈴木 壁にもたれずにですか? それはすごい。
 早田 健康だと思っていた自分の体も、70歳を過ぎた頃か衰えに気づく機会が増えてきました。ちょっとしたことですが、車の運転席から手を伸ばして後部座席の荷物を取ろうとしても、重くて持ち上がらない。
 鈴木 シニアになると、ちょっとした段差でつまずき、転倒・骨折のリスクが高まります。これには、下半身を中心に筋力をつけるしかありません。ストレッチと筋トレ、有酸素運動が重要です。「貯筋」というように、本当は若いうちから筋力を意識し、健康維持に努めてほしいですね。
 ――スポーツ庁では健康に向けたスポーツの啓発を行っています。
 鈴木 シニアに限らず、国民全体の健康増進が目的です。ライフスタイルにウォーキングやスポーツをどう入れていくか。例えば、10月は「FUN+WALK」月間として行きたい場所・やりたいことなど目的をもった外出、ウォーキングを促進しています。
 スポーツ経験のない人だと、まず「歩く」ことから始めてはいかがでしょう。早田さんみたいに倒立しろとは言いません(笑)。
 早田 オリンピックも、スポーツの勝ち負けだけで終わらせるのはもったいないですね。一人ひとりの健康につながる何かを残していければ。
 鈴木 その通りですね。選手はメダルをめざし、我々はそれに刺激を受け、身体を動かす。来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でも、レガシーの一つに「国民の健康増進」が重要だと話をしています。
 ――ねんりんピックでは、早田さんが開幕式で炬火ランナーを務められます。
 早田 和歌山県民も刺激を受け、スポーツに親しむ絶好の機会になってほしいと思います。そういう気持ちを込めて、炬火ランナーは張り切ってやりたいと思います。
 鈴木 ねんりんピックに出場される方々は、社会における健康分野のリーダーだと思います。さらに仲間を集め、輪を広げるという使命をもって、スポーツに参加していただきたいと思います。
 ――本日はありがとうございました(了)
スポーツ庁長官 鈴木大地氏

スポーツ庁長官 鈴木大地氏

(すずき・だいち)
 1988年ソウルオリンピック100m 背泳ぎ金メダリスト。医学博士。2006 年順天堂大学スポーツ健康科学部准教授、13 年同大学同学部教授を経て、15 年10月スポーツ庁長官就任。日本オリンピック委員会理事、日本水泳連盟会長など歴任。
(もういちど前半を見る)
■ 半:世界で競技する意義 

ねんりんピック新聞 2019年11月9日

  • 【お知らせ】電子版「シルバー産業新聞」
  • シルバー産業新聞申し込み
  • ハンドブック申し込み
  • SSL グローバルサインのサイトシール