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萩反射炉松下村塾ら 世界文化遺産に

 7月5日、「九州・山口の近代化産業遺産群」が世界文化遺産に登録されることが決まった。山口県萩市では、このうち「萩反射炉」(大砲のための製鉄を行う。1858年築造)、「松下村塾」(56年から吉田松陰の私塾)、「大板山たたら製鉄遺跡」(たたらと呼ばれたふいごで空気を送り木炭で熱して砂鉄を鉄にする方法で、洋式軍艦の材料となった)、「恵美須ヶ鼻造船所跡」(56年萩藩初の洋式軍艦・丙辰丸、60年に庚申丸を製造)、「萩城下町」の5つの遺跡が選ばれた。

23件の九州・山口の遺産とともに

「シリアル・ノミネーションといって、同じ歴史的な背景や文化、特徴などをもち、同一の価値基準を満たした物件について、一つにまとめて登録したのが、7月に世界文化遺産への登録決定となった23件の九州・山口の近代化産業遺産群です」。そう説明するのは、萩博物館の道迫(どうさこ)真吾主任学芸員(42歳)。

 萩の5つの世界遺産について、「外国船が出没するようになって、これまでは城の後背の海が要塞の役割を果たしていたのが、逆にどこからでも攻められるようになり、藩は幕府にはお伺いも立てず萩から山口へ藩庁を移したのです。それで、新たな産業の展開もないまま、今まで残っていたというのが幸いしたのです」と言う。

 幕末、萩近海に外国船が頻繁に出没、萩藩も洋式軍艦の製造に乗り出すために、精度の高い製鉄が必要になった。「大板山たたら製鉄遺跡」に続いて、萩でも反射炉の築造をめざすことになり、藩は大工棟梁の小沢忠右衛門に、砲架施風台(大砲の台)の模型を佐賀藩への見返りに、佐賀の反射炉を調べにやらせた。忠右衛門は反射炉のスケッチを許され、持ち帰ったという。

 「しかし萩反射炉は高さは10.5mで、静岡・韮山(高さ16m)に比べ3分の2程度しかない。製鉄を試みた跡は残っているのですが、どうも反射炉の試作機ではないかと思われます。そもそも、砂鉄を木炭で熱して造った鉄はもろく、大砲を造っても破裂するおそれが高い。技術力不足を悟ったのでしょうね。自藩での製造開発をあきらめ、豊かだった藩財政で、海外から武器を買うのです。それが幕府軍との戦いで活かされる」

 世界文化遺産には、優れた人材を輩出した「松下村塾」や広く残る「萩城下町」も選ばれた。「山口ではいまも吉田松陰は先生と呼ばれています。松陰を師とあおぐ高杉晋作は、死に場所を探すような短い人生を送っています。松陰は優れた教育者でしたが、その言動は是々非々みるのがよい、と私は思っています」と道迫さん。

 山口市にある山口県文書館は、研究者にとって宝庫だ、と道迫さん。萩藩に関する古文書の歴史的価値付けを行うため、3年がかりで50数日かけて、427冊の古文書を精査し、道迫さんは新しい発見もあったと言う。

 萩博物館:開館9時~17時(休館日なし)、大人510円。JR東萩駅よりタクシー10分、JR新山口駅からバス(70分)あり。

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松下村塾

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恵比寿ケ鼻造船所跡

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萩反射炉

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萩博物館道迫主任学芸員 

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