ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

忘れてはいけないことがある どうしても伝えたいことがある

11回目の空襲・終戦展

ide.jpg

 下関空襲・終戦展実行委員会の代表を務める井出久美子さん。

 フリーライターとして、いろいろな出版物や自費出版などの編集や企画にエネルギッシュに携わっていたが、郷土史家の澤忠宏氏との出会いが、井手さんの仕事を深化させ、知人の幅を広げ、成長させた。

 終戦60年にあたる2005年8月、恩師と仰ぐ澤忠宏氏の一周忌を機に、澤氏の戦争関連資料と下関市立図書館元館長の所有する空襲パネル一式を展示し、「終戦60周年記念事業下関空襲・終戦展」を開催した。広すぎる会場に、少ない展示物で、展示会として成り立つのか、という思いだったが、来場者の戦争にまつわる記憶を聞き、それを翌日、会場に貼り続けた。それが、来場者の目を引き、新たな語りが聞け、またそれをまとめて会場に貼る。初めて見るような貴重な展示物とともに、来場者の生の語りがあることによって、展示物以上の大きな反響を呼ぶことになった。

 会期中も、会期後も、展示会のチラシに手記を書いたものが次々と届いたのだ。「『みんなで戦争のことを語り合おう』という展示会の趣旨は十分に達成できた」、と感じたという。それらはまとめられて、出版されることになる。

 自身は、戦争を知らない世代だが、子どものころに祖母から戦争の話、空襲の話を毎日のように聞かされていたため、戦争のことを語り合うのに違和感はなかった。

 初めての展示会が思った以上の好評を得たため、翌年、「言葉でつづる関門焦土の記憶」をテーマに開催。その後も毎年、「軍国乙女たちの青春」、「絵と言葉でつづる引揚者の証言」、「あのとき、この時 引揚者の証言」、「海峡が燃えた日」、「海、その時」、「関釜連絡線『崑崙丸沈没』秘話と蓋井島」、「兵士たちの生きた証・軍事郵便展」、「TU・NA・GU」と題して戦争の記憶を伝えてきた。

 「忘れられようとしているが、みんなに少しでもかかわりのあるテーマを今伝えるために開催してきました」と井手さん。近年は「忘れてはいけないことがある どうしても伝えたいことがある」を共通のコンセプトにしている。

 今年は、「戦後70年 一兵士の言霊」で、小林喜三(きそう)という一兵士が、戦地から家族にあてて書いた144通の絵入りの手紙のうちの多くを、そのまま展示した。

 来場者は、家族への愛情あふれる文章に絵入りの手紙を書き続けたことに、感動しながらも、戦争のもたらす悲劇に思いを馳せていた。

  • 福祉住環境コーディネーター検定試験
  • SSL グローバルサインのサイトシール