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福田製紙所(栃木県那須烏山市)福田長弘さん

唯一残る烏山和紙製紙所 手作りにこだわり、その人にしかない賞状を

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 烏山和紙の製紙所として唯一現存する福田製紙所。もともと問屋を営んでいたが、80年ほど前に製紙業をはじめた。福田長弘さんはその3代目。「烏山和紙の興隆期は明治40年頃。那珂川の東側を中心に1,000カ所は製紙所がありましたが、時代とともに職人が減り昭和50年頃にはここだけが残りました」と話す。

 起源は古い説だと奈良時代にさかのぼり、税金の代わりに納められていたと言われている。厚みがあり耐久性に優れているのが特長。障子やふすま、さらに昔は雨傘にも使用され、明治初期には国の投票用紙としても採用された。

 現在は版画、絵画等の美術品や、賞状に用いられる事が多い。特に卒業証書はほぼ全ての県立学校で採用実績があり、毎年2万5,000枚ほどを作っている。

 今年のねんりんピックでは予備も含め1,300枚の賞状を製作。中心には大会マスコット「とちまるくん」の透かし模様を入れオリジナル性が高い。「全て手作りなので、一つひとつの質感を手にとって楽しんでほしい」(福田さん)。

 原材料は楮(こうぞ)の皮を使用し、近くは茨城県との県境で取れる。「キログラムあたり金額は全国一高いですが、そのぶん質は素晴らしい」。原料から地域に根づいたものを使いたい気持ちも強いという。

 採取した皮は煮てやわらかくし、紙になりにくい成分を取り除いた残りを細かく砕いて綿状に。それを水に溶き型に入れ、水抜きを行い乾燥させる。「基本は1工程につき1日のペース。紙になるまで全体で8日ほどかかります」。

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 基本的には湿度の低い冬季が製作に適しており、「紙すき」は俳句で冬の季語になっている。完成後も時間とともに微妙な状態変化を繰り返す和紙を福田さんは生き物と表現。「焦って作ろうとせず、自然の状態にあわせることが良い作品につながります」。

 一度は就職した福田さんだったが、父親の病気を機に戻る事に。「はっきりとは言われませんでしたが、この仕事を継ぐという使命は、小さい頃から祖父に刷り込まれていたようです」。

 他の職人のアシスタントをしながら見て覚え、道具が空いているときを使って練習に励んだ。1日やり続けて皺が出なくなれば、ようやく出荷できるものを作らせてもらえたという。

 「紙すきは同じ道具でも作り手の体格や力で出来ばえが全く変わります。回数をこなし、自分にベストな方法を見つけなければなりません」と体で覚える難しさを語る。

 しばらく病院に行った記憶がないという福田さん。「仕事がそのまま運動になり、健康を支えています」。機械化せず昔ながらの手法を守ってきたからこそ、体を大事にしていきたいと語った。

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