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いす式階段昇降機20年 シンテックス(栃木県さくら市)

八木澤穣社長「地域に根差し社員全員の幸せを守る」

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 1971年の創業以来、精密性の高い板金加工技術で医療機器等の金属部品を製造してきたシンテックス(栃木県さくら市、八木澤穣社長)。95年に同社初の福祉機器となるいす式階段昇降機を開発し、栃木から全国へ、高齢者や足の不自由な人の在宅生活を支えてきた。

 いす式階段昇降機は、階段の端に取り付けたレールの上を、専用のいすが電動で昇降する装置。特に自宅の2階以上を生活拠点とする高齢者や障がい者の安全な移動を支援し、家族の負担軽減にもなる。

タスカルシリーズ.jpg

 八木澤社長は創業者である父の後を継ぎ、09年11月に社長就任。開発のきっかけを「当時、取引先の社長が階段昇降機を探しており、当社の製造設備を見て『これなら作れる』と頼まれた。介護・福祉のことは何もわからないまま着手した」と振り返る。

 当時専務だった同社長を含む3人体制で1年間かけ、96年に1号機「タスカルST(屋内直線型)」を製造。躯体の製造は板金技術を応用し、電気制御技術は新たな人材を招いた。

 「販売も代理店に一任し、良いものを作ることに集中できた」と同社長。その後、屋内曲線型、屋外直線型をラインナップに加え、02年には初の段差解消機「タスカルリフト」を開発した。

レールの製造現場.jpg

 現在、いす式階段昇降機は年800~900台、段差解消機は300~400台を生産。両方あわせた福祉機器部門は全社売上の45%を占める。

 「5年後には売上を倍増させる。また、超高齢化社会の25年以降を見据え、今から海外進出も考えなくてはならない」と同社長は力強く語る。

 9月からは外国人技能実習制度を活用し、タイから2人を雇用する。3年間の技能実習の後、自国に戻り設計業務を請け負ってもらう計画だ。そうすることで、国内の設計部門が新たな開発に時間を投資できる。「ゆくゆくは生産拠点をタイに置き、主に中国市場をねらっていく」(同社長)。

 同社社員83人のうち、福祉機器部門に携わるのは30数人。地元栃木の工業高校などからの就職が多く、地域の雇用活性化にも寄与する。同社長は「最近は都会志向があまりみられず、地元で仕事を見つけたいという若者が多い」と説明。「宇都宮市内に入ると、県北の人には慣れない2車線以上になるからかもしれない」と冗談めかす。

 社員の安全管理には余念がない。例えば、製造現場のわずかな段差で台車が通過する際の荷崩れ防止や、鉄板の鋭利な角にはカバーをつけるなどの細かな配慮を行う。加えて、工場ごとにリスク因子を見極める危険予知訓練を、毎月実施。これらの取り組みが評価され、10年には産業安全優良事業場彰も受けた。

 

 社是は「総和による勝利」。社員一人ひとりの人間性を高め、社員と家族の生活を保証する。社員全員に渡す経営計画書にも書き込まれている内容だ。「人間教育は口だけではなかなか続かない。明文化して共有することが大切」と同社長。「社長は社員のために仕事をし、社員はお客様のために仕事をする」をモットーに、ものづくり技術で高齢化社会を支えていく。

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