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入れ歯はオーダーメイドの生活道具 やまざき歯科医院院長・山崎史晃さん (2018年富山)

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噛む・食べるが全身の健康に

 80歳以上で歯を20本以上保っている「8020」達成者の割合は、2016年時点で50%を超えた。健康な生活を送るには何でも食べられる健康な歯が大切だが、高齢になるとどうしても歯の欠損が起こる。そこを補うのが部分入れ歯。残りの自歯を守り、噛む力を蘇らせる。やまざき歯科医院(富山県射水市)院長・山崎史晃先生は「入れ歯は生活を豊かにする道具。自分に合ったものを上手に使い慣れること」と話す。

健康な歯は活動の源

 近年、健康寿命の延伸へフレイル(加齢とともに運動・認知機能等が低下し、進行すれば要介護、さらに寝たきりになる状態)をいかに予防するが注目されています。

 運動機能を維持・向上させるには、エネルギー源となる栄養は不可欠です。その栄養摂取の方法として口から食べることは極めて重要であり、反対に噛む力が衰えると、全身の健康状態にも影響を及ぼしかねません。

 歯が欠損している人の多くは、「何でも食べているので大丈夫」と答えますが、実際の食事内容はパンやご飯といったやわらかいものが中心で、肉や魚は少し苦労していることがよくあります。

 肉や魚に含まれるたんぱく質は、筋肉を作るのに大切な栄養素です。これが不足すると筋肉がやせ細り、活動量が落ちてしまいます。これを食い止めるために、入れ歯の使用は有効な手段の一つとなります。

 フレイル予防にもう一つ重要なのが、社会との関わりです。外に出て、人と触れ合うことは精神面へ良い影響を与えます。そういった交流の場では、一緒に食事する機会も出てくるでしょう。でも、自分だけ上手く食べられないと楽しさも半減、参加する気力も徐々に低下してきます。

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 厚生労働省の調査では、入れ歯(部分入れ歯含む)を装着している人の割合は、50歳代後半では11%ですが、60歳代後半になると31%まで上昇します(グラフ)。60~70歳代のうちから、必要な人は入れ歯でしっかり噛むトレーニングをし、使いこなしていくことが健康な生活を続けるためのポイントです。

 ねんりんピックに参加するような、スポーツを行う人にはなおのこと歯の存在は重要です。食べることでの栄養バランスもそうですが、噛み合わせは力を入れる、食いしばるときに影響します。余談ですが、昔、競馬場の近くで働いていたとき、よく騎手が診察に来ました。若いのに、歯がずいぶん擦り減っていたのが印象的です。

部分入れ歯が自歯を守る

 昔に比べて健康に保っている歯の本数は明らかに増えてきています。国や歯科医師会、メーカーの啓発活動により、むし歯や欠損がなくても、定期的に健診を受ける「予防歯科」の考え方が浸透してきたのが要因の一つです。歯質強化や細菌の抑制効果があるフッ素を配合した歯みがき剤が主流になったことも大きいでしょう。

 しかし、歯の本数と噛む力は必ずしも比例するわけではありません。実は、歯の中で欠損しやすいのは、かみ合わせを支える臼歯部(奥歯)です。特に、第一大臼歯(前から6番目)は永久歯の中でも生えるタイミングが早く、むし歯にもなりやすい部位です。ここを失うと、周囲の歯にも負荷がかかり、より噛むことが困難になってしまいますので、部分入れ歯を検討しなくてはなりません。

道具は「慣れ」と「手入れ」が大切

 入れ歯は人工物です。初めて装着すると、かなり違和感があります。最初の1週間でどれだけ慣れるかが分かれ目です。ご飯のときだけ装着し、外す時間が長い人はなかなか続かず、せっかくの道具が「お蔵入り」となる可能性が高いでしょう。

 血圧の薬や利尿剤等を使用している人は口腔乾燥(ドライマウス)が強く、口腔粘膜が敏感なため入れ歯が装着できないという人もいますが、お口の体操や唾液腺マッサージを取り入れてみることをお薦めします。また、市販の口腔保湿液・ジェルなども便利です。

 どんな道具でも、安全に長持ちさせるには、日々の点検・手入れは欠かせません。入れ歯も同じです。装着したまま歯みがきをしても、汚れは完全に落ちません。必ず外して洗浄するようにしましょう。

 洗浄をきちんと行わないと、総入れ歯の場合はカビが生えて口腔粘膜に炎症をきたし、痛みを伴います。ひどい場合は誤嚥性肺炎のリスクも高めます。また、部分入れ歯の場合は、周囲の自歯がむし歯になりやすくなります。

 また、入れ歯を長期間装着していると、顎の状態も変わってきます。半年に1回は入れ歯の適合を診てもらうようにしましょう。「入れ歯を使ったら、かえって悪くなった」のでは本末転倒です。残りの歯を守るためにも、道具は自分に合ったものを、正しく使うようにしましょう。

 

山崎先生がアドバイス 歯みがきの常識・非常識

①「毛の硬い歯ブラシは汚れが落ちやすい」は×

 硬い毛の方が、ついみがけている気になりがちで、特に男性に好まれます。しかし実際には柔らかい毛の方が、汚れが取れやすいとのデータがあります。毛の硬さよりも、最低3分、丁寧にみがくことを心がけましょう。よく、歯周病の人には、リハビリ感覚で入浴しながらじっくりみがいてもらうよう指導したりもします。

 また、どんな歯ブラシでも1カ月経つと毛先が開き、みがく力が低下します。高価な歯ブラシを長く使うより、種類は何でも良いので毎月交換する習慣をつけましょう。

② 歯みがき剤は控えめに

 歯みがき剤をたくさんつけると泡立つので、これも同じく「みがいている気」のパターンです。大量の歯みがき剤は歯ブラシの毛先が歯に当たりにくくなる原因となり、逆効果です。目安は歯ブラシの半分ほど(1~2cm)の量です。

 

ねんりんピックしんぶん2018in富山

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