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健康寿命を延ばす「セーフティ・ウォーキング」のコツ (2018年富山)

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けがを防ぐために 足はまっすぐ前へ、 歩幅を取りすぎないで

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、高齢者が要介護状態になる原因で、最も多いのは認知症。次いで、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患などが大きなリスクとなっている。これらは誰しも避けられない加齢と、それに伴う疾病・けが。生活習慣の見直しで、少しでもこれらのリスクを遠ざけられないものだろうか。その解決策の有力候補の一つが、広く親しまれているウォーキングだ。ただし、身体に無理のない歩き方をしないと、膝・腰の関節などに余分な負荷がかかり、関節や軟骨などを痛めて、歩くのが難しくなってしまうこともある。

 そこで、高齢期の健康的な歩き方「セーフティ・ウォーキング」を提唱する、スポーツトレーナーの土井龍雄さんに、身体に負荷の少ない、健康寿命を延ばす歩き方について聞いた。

 厚労省のデータによると、平均寿命と健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間)の差は女性で12.35年、男性で8.84年あるとされています。この差を少しでも縮めることができれば、最後までその方らしくいきいきと過ごせることになります。

 要介護状態や寝たきりにならないためには、日々健康的に歩くことが手軽に続けられる方策でしょう。歩くことで動脈硬化を防いだり筋力を維持したりすることなどにもつながり、要介護状態の原因となる疾患などを防ぐことも期待できます。

 歩く姿勢は加齢によって変化します。若いときは筋力がありますが、それが徐々に低下することで歩幅が狭まっていきます。そして高齢期にさしかかると、筋力や骨密度がさらに低下して関節や背骨の変形が進み、歩きづらくなっていきます。そのままいくと、筋肉をはじめ関節や軟骨、椎間板といった運動器に障がいが起こり、立ったり歩いたりしにくくなる「ロコモティブ・シンドローム」(ロコモ)と呼ばれる状態になってしまいます。そこからさらに、骨粗しょう症や変形性関節症などの運動器疾患になると、日常生活の質が大きく低下したり、要介護状態になることが懸念されます。

 それを防ぐには、日頃から健康的に歩くことが有効で、そのために、▽足腰に無理をかけない歩き方を身につける▽歩くための筋力を保持する▽歩くためのバランス機能を保持する▽歩くための関節可動域を保持する▽栄養と休養を確保する▽交流と活動の機会をつくる――ことなどを通じて、いつまでもいきいきと歩ける「歩行寿命」を延ばすことが必要なのです。

「鼻緒」に体重をかけて

 それでは、健康寿命の延伸にもつながる「セーフティ・ウォーキング」のポイントをお伝えしましょう。

 まず、歩くときの歩幅ですが、狭すぎるとつまずいて転倒しやすくなります。だからといって、脚力がない方が歩幅を大きくしようとすると、上半身がついていけずに身体がそり返り、足が着地する時に地面に突っ張るようになり、膝や腰への衝撃が大きくなってしまいます。そうならないために、身体が前傾・後傾しないまっすぐな状態を保ち、上半身が足に合わせて滑らかに体重移動できるような、その方の脚力に合った歩幅で歩くことが必要です。

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 足を着地させる際は、足を突っ張るのではなく、前に振り上げた足を戻す際、引くように着地させれば、膝や腰にかかる衝撃を小さくできます。硬い野球ボールのキャッチボールで捕球する際、グラブを嵌めた手を少し引くようにして捕れば、手にかかる衝撃を和らげられますね。あのような感覚で、私は「キャッチ歩行」と呼んでいます。

 次に、左右の足の間隔を4~5cmとって歩きましょう。そうすれば、姿勢が安定して転倒の危険性が小さくなります。モデルのように一本線の上を進むような歩き方をしていると、左右にふらつきやすくなり危険です。また、足の小指に体重がかかった状態になり、捻挫など故障のもとです。下駄や草履の「鼻緒」のあたりに体重を乗せるようなイメージで歩きましょう。

 さらに、つま先や膝をまっすぐ進行方向へ向けて歩くことが必要です。いわゆる「がに股歩き」では、つま先が外側を向いているのに膝は内側を向いているため、膝や足の関節が捻れてけがの元になります。逆につま先が内側を向く内股歩きですと、膝の外側を痛めたり、捻挫もしやすくなります。

 正しい歩き方を指導したり、そのために必要な筋力トレーニングやストレッチの指導、また歩行能力のチェックなどをしてくれる、高齢期の健康なウォーキングの専門家「『歩く人。』インストラクター」が、全国で約150人活動しています。

 お近くのインストラクターを探すには、日本フィットネス協会(☎03・5875・1035)へお問合せ下さい。(談)

 

医療法人貴島会 ダイナミックスポーツ医学研究所 顧問 土井龍雄さん

(どい・たつお) 1952年長崎県生まれ。大阪教育大学卒。日本スポーツ協会公認アスレチックトレーナー、健康運動指導士。武豊騎手や太田雄貴選手をはじめ、神戸製鋼所ラグビー部、日本女子バスケットボールチーム(ユニバ)、全日本フェンシングチームなど多くのスポーツチームのコンディショニングを担当。また事業所等の健康管理、高齢者の運動療法にも長年取り組んでいる。主な著書に「歩行寿命が延びる!セーフティウォーキング」(三省堂)、「歩く人。長生きするには理由がある。」(三省堂、共著)

 

ねんりんピックしんぶん2018in富山

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