インタビュー・座談会

日福協・小野木会長「福祉用具、新たなステージに」

日福協・小野木会長「福祉用具、新たなステージに」

 いよいよ福祉用具のレンタル業界も2018年10月1日から新たな制度の下、新ステージに突入いたしました。上限を超える貸与価格設定が給付対象外となったこと、そして全国平均貸与価格の説明が義務づけられたということです。ご利用者様もケアプランを作るケアマネジャーの方も、今まで以上に価格に敏感になることが予想されています。

「価格見直し」緊急アンケートを実施

 そのような中、全国のレンタル事業者の価格戦略の見直しがどのようにされていくのか、注目されるところであります。当協会も、緊急アンケート調査ということで、各社の価格の見直し状況を、10月中に把握し、傾向をまとめたうえで公表する予定であります。

 価格戦略は、企業経営の中では、大変重要であります。たとえば、営業利益率2%の企業が価格を2%下げて、他の費用が一緒であれば、利益は無くなります。営業、つまり事業の継続が難しくなります。また、利益率が4%あったところでも、価格を2%下げれば利益は50%ダウンします。ましてや、今回の改定では、事務作業としても複数商品の提示やその平均価格、自社の価格の提示等、負荷が増えております。そして、各社とも人手不足の中、人件費は上がることがあっても下がることはありません。レンタルのためのガソリン代も昨年に比べれば、20%ほど上がってきております。そのような中、自社の事業の継続を図るために、何を変えていかなくてはならないのか、何を変えてはならないのか、各社の経営努力が問われることとなります。

2年間で3度の価格見直しが求められる

 福祉用具レンタル業界にとりまして、さらに悩ましいのが、2019年の10月には消費税が上がり10%となることです。課税対象のレンタル商品については来年10月には、また価格の見直しをしなくてはなりません。そして、その後には、2回目の上限価格の見直しが予定されていて、このことについても、各社価格の対応が必要だという事です。つまり、この2年ほどの中で3回価格の見直しを図らなければならない状況であることをしっかりと認識しておく必要があります。このようなスケジュールを頭に入れながら今回の価格設定をする必要があるのです。3回の価格の見直しというのは、我々事業者にとりましても、カタログの刷新等コストもかかるとともに、ご利用者様にご理解頂くためのエネルギーも必要であります。当協会としても、無用な混乱が起こることがないよう、しっかりと状況を把握していきたいと考えております。

 福祉用具は介護保険制度の中で、軽度の方から重度の方まで、たくさんの皆さんにご利用いただいています。そして、福祉用具は、ご利用者様の残された能力を最大限に活用し、できる限り自分でできることはヘルパーさんや家族の世話にならずに、自分でやろうという思いを実現するために使う道具です。これからの少子高齢化の中、ヘルパーさんの確保が厳しくなる中、そして核家族化が進み家族の介護も厳しくなる中で、福祉用具の担うべき役割はますます大きくなると予想されます。当協会といたしましても、福祉用具レンタル企業がこれからも地域包括ケアの中での役割をしっかりと果たすべく、自由競争の元、業界の健全な発展に寄与してまいりたいと考えます。

 (シルバー産業新聞2018年9月10日号)

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