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可能性拡げる福祉用具 花岡伸和/西野雅信/長倉寿子(3)

 

もっと広がる道具の可能性

 西野 福祉用具の研修を企画したときに、そもそも福祉用具ってなんだろうと改めて考えたことがありました。尊敬する社会福祉士の方が、ふと「福祉は幸せのことだよ」と言っていたのを思い出して、それなら福祉用具は「幸せのための道具」だなと思ったんです。
 今日、この座談会に参加することで緊張していると娘に話したら、折り紙でブローチを作ってくれました。「これ、つけていきなよ」って(笑)。このブローチは確実に私をケアしてくれているし、私にとっては福祉用具だと思う訳です。
 花岡 間違いありませんね(笑)
 西野 何が言いたかったかというと、我々が福祉用具を勝手に限定してしまっている場面もあるのかなと思うんです。制度の対象品目に限らず、さきほどあった家族の関係性にアプローチできるものなど、もっと広い視野から道具の可能性を捉えられたら、と。
 長倉 その通りですね。私たちは皆、道具を使って生活しています。その点にもっと関心を寄せて、広い視野で考えれば、支援の可能性も広がっていくのだと思います。
 花岡 そう考えれば、競技用の車いすも私を幸せにしてくれる福祉用具の一つですね。
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娘さんが作ったブローチを胸に飾った西野さん。「これも私の福祉用具」

自宅で重要な生活動線の確保

 花岡 リハビリ生活を経て、ようやく退院となったのですが、旧家だった実家は、車いすでは住めない古いつくりでしたので、病院のOTやPTの方にもみてもらって、かなり大規模に改修しました。入口からトイレまで動線の段差を解消したり、汲み取り式トイレも変えたり、色々手を入れました。僕だけでなく、祖父母も住みやすくなったと歓迎されましたね。
 一番覚えているのが、離れの入り口の壁に板を留めておいて、出入りするときはロックを外せば、その板がトランスファーボードになるアイデアを思いついたんです。そしたら、「自分で考えたんやから、自分で作りや」って言われて、病院の木工室で黙々と板を切り、やすりがけをしました(笑)。
 西野 とことん自己決定、自己実現ですね(笑)。自宅の環境を整える際に、大切なのが生活動線の確保。動線があれば、自分でトイレに行ける、お風呂に行けると、できることが広がります。それでも難しい場合に、人の手でとなりますが、それも動線がある中でサポートするのと、そうでない場合とでは負担感が異なります。
 長倉 外へ出かけるための改修もしましたか?
 花岡 門の石段を車いすで超えられるようにしたりしましたね。ただ家を出るとすぐにものすごい勾配の坂があったんです。その時は鍛えるため、行動範囲を広げるためと思って、必死に手動車いすで登っていましたけれど、今はもう無理かもしれません(笑)。
 それから、車いすを選ぶときは、しっかり骨盤が立つかどうかを確認しています。骨盤が立たないと、姿勢が崩れてきてしまうからです。たまに高齢者施設などでも、ずっこけた姿勢のまま、車いすに座っている方をみることもありましたが、あれでは食事するのも難しいですよね。今でも車いすを選ぶときは、そこはポイントにしています。
 西野 もちろん病院・高齢者施設と自宅の環境は異なります。自宅の環境を整える時には、花岡さんのように、普段の生活、したい生活に合わせて、整備していくことが大切でしょう。
 花岡 立場が違う3人でしたが、同じマインドで語り合えたのが大変楽しく、また自分の進んできた道は間違っていなかったと再確認できました。本日はありがとうございました。
 長倉・西野 ありがとうございました。
長倉 寿子さん

長倉 寿子さん

(ながくら・ひさこ)
 厚生労働省老健局高齢者支援課 福祉用具・住宅改修指導官
 国立療養所近畿中央病院付属リハビリテーション学院作業療法学科卒業。作業療法士として、兵庫県社会福祉事業団玉津福祉センター付属中央病院(現・兵庫県立リハビリテーション中央病院)をはじめ、介護保険施設、在宅サービスなどで活躍。2011年から昨年6月までは兵庫県作業療法士会会長も務めた。今年4 月より現職。

福祉用具の日しんぶん 2019年10月1日

 

 

 

 

 

 

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