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【福祉用具で解決! 介護の困りごと】 「これって認知症? 難聴?」 補聴器 (2018年)

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 Aさんは84歳の女性です。息子2人と娘1人がおり、娘の家族と同居しています。これまで特に大きな病気に罹ったことはなく、よく旅行や外出を楽しんでいましたが、この1年くらいは高齢になったせいか少し元気がない様子でした。数日前に外出先から帰宅できなかったことをきっかけに、そういえば「探し物をしていることが多い」「何度も同じことを聞くことが増えた」などの症状があることを家族が思い当たり、娘に説得されてまず近くのかかりつけの医院を受診し相談したところ専門の精神科を紹介されました。

 その精神科でいろいろな検査を行った結果、アルツハイマー型認知症と診断されました。進行を抑えるための服薬治療とともに、週3日、デイサービスでのリハビリテーションが始まりました。幸い認知症の程度はそれほど進んではいなかったのですが、自信を失ってしまったのか、すっかり元気をなくしてしまいました。デイサービスでの様子を聞いてみると、どうもうまく会話が成立しないために孤立してしまっているようで、次第にデイサービスへ通うのを嫌がるようになりました。

 そうした中、同居している娘が後ろから話しかけても反応がないことから、認知機能の問題だけでなく聞こえも悪いのではないか、ということに気付きました。近くの耳鼻咽喉科(補聴器相談医を標ぼう)を受診したところ、加齢性難聴の診断がなされ、補聴器の装用を勧められました。聴力は両側ともに50dB程度の中等度の難聴とのことで、この聴力だと日常の会話でも半分近くは聞き漏らしてしまうレベルということでした。

補聴器装用で認知症状の予防・改善も

 そのクリニックで紹介された認定補聴器専門店で両側の耳かけ型補聴器の試聴を開始したところ、当初より「よく聞こえる」と好感を抱いた様子で、数回の調整を経て両耳に購入しました。その後、朝から夜入浴するまで補聴器をつけていて、以前よりずっと表情が明るくなりました。特にデイサービスへ行くことが楽しみになったようで「お友達と話すのがとても楽しい」と言っています。家族との会話も増え、友人と交流する機会も再び増えてきました。それから約1年が経過しましたが、今もデイサービスでのおしゃべりを楽しんでいます。

 難聴は認知症を発症させる要因の一つであることが分かっており、適切に補聴器を装用することで認知症の発症を予防する効果が期待されています。また、すでに認知症を発症している人の中でも難聴を合併している確率が高いこと、難聴がある場合には適切に補聴することで認知症の症状を改善できることが示されています。

 

北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科言語聴覚療法学専攻 佐野肇さん

 1986年山梨医科大学を卒業し北里大学耳鼻咽喉科に入る。94年北里大学医学部耳鼻咽喉科講師、2006年同助教授、07年同准教授を経て14年4月より現職

 

福祉用具の日しんぶん2018

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