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シルバー産業新聞

加齢による難聴からうつや認知機能の低下へ

北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科言語聴覚療法学専攻 教授

佐野 肇さん

Q なぜ年をとると耳が聞こえにくくなるのでしょうか?

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A わたくしたちの耳の構造は図のように外耳、中耳、内耳の3つで構成されています。外耳から中耳は音を効率よく内耳に伝え、内耳は伝わってきた音を神経の信号へと変換しています。難聴は耳のどこに異常があっても生じますが、外耳から中耳までに原因がある伝音難聴と内耳から神経に原因がある感音難聴の2つに分類されます。年をとって衰えてくる場所は内耳と神経で、感音難聴が起こってくることになります。

Q 聞こえにくくなるとどうなってしまいますか?

A 感音難聴では音を感知する力が衰えると同時に音を分析する力も衰えます。これにより小さな音が聞こえなくなると共に聞こえる音も質が劣化して言葉が聞き分けにくくなります。また伝音難聴ではそれを改善する治療手段が存在するのに対して、感音難聴は多くの場合に有効な治療法がありません。

 難聴になると周囲からの情報量が減少します。そして他人の言っていることがよく聞きとれない、会話がうまく成立しない、というような経験を繰り返すと周囲との関わりを避けるようになります。こうして難聴は外部との関わりをつなぐコミュニケーションを障がいすることにより直接的に生活の質を悪化させますが、それに続いて精神的健康にも影響を与えうつ状態や認知機能の低下をもたらしやすくすることが知られています。

聞こえのメカニズム.png

Q 聞こえにくくなったらどうしたらいいのでしょうか?

A 聞こえが悪いのではないかと思った場合にはまず耳鼻咽喉科を受診してください。耳鼻咽喉医の中でも補聴器相談医(日本耳鼻咽喉科学会のホームページで調べられます)に受診するとよいでしょう。補聴器相談医は難聴があるのか、その程度はどのくらいか、難聴の種類は何か、原因は何か、治療法はあるか、などを判断します。感音難聴で有効な治療法がない場合には補聴器が必要かどうかを相談し、補聴器を装用する場合には補聴器の専門店に紹介状を書いてもらいます。補聴器専門店の中でも認定補聴器技能者が常勤している認定補聴器専門店を選ぶとよいでしょう。補聴器は眼鏡よりも合わせるのに時間がかかり、さらに使用後のメンテナンスにも頻繁に行う必要がありますので、行きやすさや店の対応の仕方なども重要な選択の要素になります。

プロフィール

1986年山梨医科大学を卒業し北里大学耳鼻咽喉科に入る。94年北里大学医学部耳鼻咽喉科講師、2006年同助教授、07年同准教授を経て14年4月より現職

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