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【福祉用具活用事例】行きたいとき、行きたいところへ

定年直前に突如襲った脳出血

松田様(川村義肢)IMG_3143.jpg 「体がこうなるまでは仕事ばかりの毎日で、趣味を楽しむことも少なかった。今は電動カートのおかげで趣味に勤しみ、毎日楽しく暮らしています」と笑顔で話す大阪府堺市在住の松田宏さん(75歳)。現在は奥さんと二人で暮らしている。

 以前は電子部品の営業企画の仕事に従事。週末は息子のスピードスケートの練習や遠征などに付き添い、毎日を忙しく過ごしていた。

 2000年1月、奥さんと「定年までもう少しだね」と話をしていた矢先に脳出血で倒れた。「会社の方が病院に来てくださり病院で主人の定年退職祝いをしました」(奥様)。同年6月に退院。左半身にマヒが残り、短下肢装具をつけて短い距離なら歩くこともできたが、長距離の移動には車いすが必要になった。

 退院前に玄関のアプローチ・玄関・浴室・トイレなどには段差解消や手すり設置の住宅改修を行った。浴槽からの立ち上がりや出入りを安全に行うためのすべり止めマット、洗体動作と立ち上がりを安全に行えるよう入浴用いすを導入した。

 「一人で歩くと、転倒したらどうしようとか悪い事を考えてしまい、不安になり左足が硬直してしまうんです。硬直すると足の指が内側に曲がってうまく歩けなくなってしまいます」と松田さん。しかし、「指先まであるプラスチック製の短下肢装具があれば、安心して歩くことができるんです。入浴時も浴室・浴槽からの出入りや立ち座りの動作も自分でできます」と話し、適切な装具を利用して安全に歩行や入浴ができているという。

福祉用具専門相談員による適切な選定

 現在、松田さんは短下肢装具を装着し、室内用の車いす、屋外用の電動カートをレンタルしている。川村義肢(大阪府大東市、川村慶社長)の福祉用具専門相談員・笹尾明彦さんは、室内用車いすについて「長時間座る室内用車いすは身体への負担軽減と不適合による2次障がいを防止するため、松田さんの身体寸法や障がい状況・家屋状況、それぞれにあった車いすの選定がとても重要です。部品を一から選択して組み立てる、適合型車いす『リアライズ』をご使用いただいています」

 さらに笹尾さんはこう続ける。「短下肢装具も使い続けるうえで、身体や使用環境に適合が最も重要な福祉用具です。退院後の在宅生活で身体にあわなくなった装具を、知らずに使い続けていると、不適合による二次障がいを起こしてしまうおそれもあります。装具も定期的なモニタリングが必要です」。

「福祉用具レンタルはいい仕組み」

 屋外の移動は主に電動車カート。松田さんは雨の日以外ほぼ毎日使用している。電動車いす歴15年の大ベテランだ。夕方になると近くの浜寺公園へ散歩に出かける。公園には手すり付きの歩行練習ができるスペースがあり、そこで毎日歩く訓練をしている。15年も通っていると知り合いもでき、知った仲間で話をするのも日課になっている。

 歌の会、古文、懐メロ、習字、教会通い、英会話、絵手紙、コンサート、全て身体が不自由になってから松田さんが始めたことだ。「才能がないのか長続きしてないんですけどね」と控えめだが、詳しく聞けばどれも5年~10年続けている。片道40分かけて電動カートで通うものもある。

 「電動カートのおかげで、人の手を借りずに自分の行きたい時に行きたい所へ行けるんです。電動カートがなければこんなにいろんなことはできないですね」。また福祉用具レンタルについても「レンタルはいい制度。商品の変更や定期的な点検をしてもらえるので、安心して使うことができる」と評価する。

 「一つひとつの福祉用具はどれも松田さんにとってなくてはならないものです。今後も生きがいのある生活・人生を継続して送って頂くため、メンテナンスも含めてサポートしていきたい」と福祉用具専門相談員の笹尾さんは力強く語った。

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