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シルバー産業新聞

年齢や障がいを問わない共用品

公益財団法人共用品推進機構課長

森川美和さん

森川写真.jpgQ 「共用品」ってどういうものなんですか?

A 共用品とは「障がいの有無や年齢に関わらず、より多くの人が使いやすい製品、施設、サービス」のことです。「ユニバーサルデザイン」、「バリアフリー」、「アクセシブルデザイン」などの言葉を聞いたり、目にしたりすることもあると思います。それぞれの言葉は生まれた背景が違うので厳密に分けて使われる方もおられますが、当機構では類似の概念であると説明しています。

Q みんなが使いやすいもののことなんですね。例えばどんなものがあるのですか?

A 共用品の代表例は、シャンプーボトルの側面にある「きざみ」です。これはシャンプーとリンスの区別をつけるための配慮です。

 もともとは目の不自由な人が洗髪用の容器が似ていて識別が難しいということを解決するため、モニタリングなどを経て作られた工夫です。しかし目が見えている人でも洗髪時には目を閉じることから、同様の不便さが生まれます。はじめは目の不自由な人たちのために作られた工夫ですが、結果として洗髪する多くの人にとっても助かる工夫となったわけです。

 今年に入って、ボディソープの容器にラインと呼ばれる一直線上の触覚記号が付いたのをご存じですか?これは近年増えてきたボディソープとその他の容器の区別がつきにくいことから生まれた工夫です。まだ市場にはたくさん出ていませんが、これから増えてくる工夫の一つです。

 このように目の不自由な人のために作られた工夫が、より多くの人にとって使いやすくなったものはまだあります。アルコール缶飲料の上部にも工夫があり、点字で『おさけ』と書いてあります。「点字が付いていることは知っていましたが、『おさけ』と書いてあることは知らなかった」という人も多いです。

 これも目の不自由な人のための配慮ですが、まだ字の読めない小さな子どもにも、「缶の上にボツボツがついているものは、お酒の印だよ」と伝えておくと、点字が読めなくても飲んではいけないものと分かり、誤飲を防ぐことに役立ちます。

 そのほかにも、耳の不自由な人にも助かる文字情報やバイブレーション機能、車いすを使用している人にも助かるエレベーターやノンステップバスなど、障がいのある人達の不便さを解決したことによって、結果的により多くの人が使いやすくなった共用品は数多くあります。

Q 共用品がこんなに生活に浸透していたなんて知りませんでした。これからも増えていくのでしょうか?

A 今年3月に共用品推進機構が発表した「共用品市場規模推計調査」では、共用品の市場は約2兆9,398億円となっています。(この調査は1995年度に開始。18年間で約6倍となりました)

 この対象品目には、ここ数年で共用品化(バリアフリー化)された乗り物や急成長を遂げているIT機器類が含まれていないので、それらを含めると桁違いの規模になります。それだけより多くの人が利用しやすいモノ、サービス、施設等が増えてきたことになり、住みやすい社会の実現に向けて歩みを止めることなく進んでいることが分かります。

 共用品の市場規模は数値的に伸び率等を把握することができますが、実はどんな逆境(社会的、経済状況、災害等による急激な変化等)にも屈することなく、人のために使いやすいモノを提供したいと思う日本のモノづくり文化の姿勢を垣間見ることもできます。

 より多くの人にとって使いやすい、あるいは利用しやすい製品やサービス等が、これからも必要な人たちに届くよう、当機構も努めて参ります。

 共用品推進機構ウェブサイト:http://kyoyohin.org

プロフィール

山口県出身。山口芸術短期大学卒業後、下関市立の幼稚園教諭を経て、盲ろう者等、障がいのある人たちとの関わりを深める。共用品推進機構の総務、調査研究、教育分野にたずさわる。翻訳絵本に「スーザンはね…。」(評論社)などがある

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