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シルバー産業新聞

着にくさを解消してお気に入りの服を着よう

福祉技術研究所

岩波君代氏

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Q 着脱しやすくて、おしゃれに見える服の工夫にはどんな方法があるのですか?

 一般の既製服は、おしゃれや着心地を考えて作られていますが、着脱しやすさまで考えられているわけではありません。もし既製服をだれもが着やすいものにしたとしたら、かっこよくスマートにはならないでしょう。

 そこで、体が不自由なことで服が着にくいと、どうしても大きなサイズを選んでしまいがちです。しかし大きいサイズにすると肩幅や衿ぐりが大きくなってしまい、見た目が悪くなるだけでなく、着くずれが起こりやすくなります。しかも、衿ぐりや肩幅が大きくなっても着脱がとくに楽になるわけではありません。着脱が楽にできるかどうかは、服全体の大きさではなく、背幅とアームホール(袖穴)の大きさと関係しています。腕が上がりにくかったら腋の下にマチを入れるなどしてアームホールを大きくすると腕入れが楽になります(図1)。 

 また、腕が後ろに回りにくくなったら背幅を広げるか、背を開放することでアームホールの位置が前の方にくるので、肩を後ろの方にまわすことなく袖入れが楽になります(図2)。

 このように、衣服に対して着る人の身体のどこがどのように着にくいのかをよく知ってお直しすれば、手持ちの服も一気に着やすくなります。

 ポイントは、着たい服ごとに実際に袖入れをし、できるだけその服のデザインやシルエットを変えずに着にくそうな個所の直し方を見つけ出すことです。工夫する方法や分量は、服によってみな違います。

Q 車いすを利用していますが、雨の日対策としてレインウェアにはどんなものがあるのですか?

A 車いすを利用している場合の雨対策には、個々の使用状況や要望内容に違いが多いことから、昔から既製化することの難しさが言われてきています。

 その一番の理由は、体の大きさだけで決まるものではなく、体と車いすを一体とみて全体をカバーする難しさです。体と車いすには、それぞれに異なる条件があります。その上でタイヤに絡まず、かつ座面に雨が入り込まないようなギリギリの裾ラインの位置が求められます(左の写真)。しかも車いすやタイヤの大きさは、自走式、介助式、電動式などによって様々です。自走式は袖付きが望ましく、電動式はコントロールボックス位置確認と工夫が必要になります。さらにヘッドレスト付き車いすはフードとヘッドレストとの関係を配慮した設計の工夫が必要となり、いっそう難しくなります。

 もう一つの難しさは、雨の降る強さと着用時間、季節による蒸れ感などによって適切な素材選びが必要となりますが、現在出来上がったものでの素材の選択肢はほとんどないのが現状です。ただ、一般市場には撥水・防水加工、透湿防水加工素材で薄手で耐水圧の高い生地が豊富に開発されてきているので、車いす用にも使われることを望みます。傘をさす方にはレインコートは補助用品ですが、「身にまとう傘」の役割を要求される車いすレインウェアは、まだまだ多くの課題をかかえているのが現状です。車いすレインウェアは外出するためには欠かせないものであるため、高機能で個々に合った商品開発が常に求められてきているのが現状です。

プロフィール

文化女子大学服装学科被服構成コース卒。32年間、東京都において障がい者、高齢者の衣服、靴の研究や相談にたずさわってきた経験を生かし、現在、福祉技術研究所で、メーカーのコンサルタント、講習会などを行っている。上級シューフィッター(FHA)

 

 

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(図1)肩が上がりにくかったら袖穴を大きくする

 

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(図2)ファスナーで背を開放する例

 

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身体と車いすに合わせたレインポンチョ例(リフォームスタジオ(株)参考商品より)

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