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シルバー産業新聞

床ずれ発生のメカニズムと予防対策

阪和住吉総合病院 副院長

美濃良夫氏

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Q 床ずれはどうしてできるんですか?

A 麻痺などで動きが悪くなったり、意識障害などでベッド上の動きが少なくなると、骨の突出の強い部分に圧迫を受けて血液の流れが止まり、皮膚やその下の組織が死んでしまい(壊死)、床ずれができます。またベッドの背上げや体位変換で皮膚が擦れたり、皮膚とその下の組織の間でずれたり、汗、尿、便で皮膚が湿る、むくみ、栄養不良などで皮膚が弱くなると床ずれができやすくなります。

Q どこにできやすいのですか?

A 骨が突出している部位、すなわち仰向けに寝ているときには腰の真ん中(仙骨部)、かかと、横向きの時は、足の付け根の側面(大転子部)、腰骨の側面(腸骨部)、くるぶしに特にできやすくなります。ベッドの背を長時間起こしたままにしているときにもお尻の割れ目の一番上(尾骨部)にできやすいので、ベッドの背上げは予防にはなりません。長時間座っているときには、尾骨部や坐骨結節部(左右のお尻の下の方)にできやすくなります。

Q 皮膚が赤いだけでも床ずれですか?

A 床ずれの見え方は深さや時期によって様々です。圧迫を受けていた部分の皮膚が赤くなり、時間がたっても消えず、指で押さえても白っぽくならない場合は浅い床ずれです。そのほか皮膚の一部がめくれた状態(びらん)、水疱も浅い床ずれです。固く黒いかさぶた、黄色っぽく柔らかい壊死、皮膚がえぐれた状態(潰瘍)は深い床ずれです。キズから滲出液という液体が出てきます。キズ周囲の発赤、腫れ、膿、悪臭、皮膚がブヨブヨしているときは感染が疑われます。

Q 進行して悪化したらどうなるのですか?

A 悪化すると筋肉や骨まで壊死が進んでしまうことがあります。感染が骨に達すると骨炎、さらに進むと骨髄炎となり、最悪の場合は血液の中に細菌が入って敗血症という病気に進んで命をなくすこともあります。

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Q 予防で大切なことはなんですか?

A まず床ずれができる要因をできるだけ取り除くことです。床ずれ発生の要因には、ご本人が持つもの、環境やケアによるもの、両方に重なるものがあります(図)。対策として床ずれ防止マットレス、クッション、ベッドや車いすの使用方法と姿勢、体位変換、適切な栄養の補給、スキンケア(皮膚の補清、失禁管理)などがあります。医療用具や介護用具による圧迫にも気を付けましょう。

Q 床ずれ防止マットレスにはどのような種類があるの?

A 一般的によく用いられているのは、ベッドマットレスと交換して用いる厚みのある交換マットレス、ベッドマットレスの上に敷く薄い上敷きマットレス、表裏の両面を使い分けることができるリバーシブルマットレスなどです。

 素材は、空気、水、ウレタンフォーム、特殊繊維、ゲル、ゴム、2種類以上の素材を組み合わせたものなど様々あります。

Q 床ずれ防止マットレスはどの機種を使ってもよいのですか?

 床ずれの予防なのか、床ずれができているのか、また日常生活動作、介護力の程度などにより、その人に一番適したマットレスを選びます。専門家に相談するとよいでしょう。床ずれ発生のリスクが非常に高い人にウレタンフォームを使っても、効果が不十分で床ずれができることがありますし、逆にリスクが低いのに高機能エアマットレスを使うと、起き上がりや寝返りなどのADL(日常生活動作)の妨げとなることがあります。

Q 2時間おきの体位変換 は必要ですか?

A 2時間おきというのはひとつの目安です。特に在宅では夜間の体位変換は困難なこともあります。床ずれ防止マットレスを使っていても、基本的には体位変換を行います。体位変換機能が付いた機種もあります。

Q 床ずれは治すことができないのですか?

 全身状態がよほど悪くない限り、基本的には床ずれは治すことができます。ただ薬をつけたりドレッシング材(キズを覆う医療材料)を貼るだけでは治りにくいことがあります。一番大切なことは、床ずれを作った原因や要因を取り除くことです。

プロフィール

大阪医科大学卒業後、大阪大学在籍。1993年以降、老健錦秀苑施設長などを経て現職。日本褥瘡学会前理事・前会長。97年厚生省褥瘡指針策定研究班。医学博士。

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