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福祉用具サービス計画と実効性

創価大学 文学部社会福祉専修 教授 和田光一さん

福祉用具サービス計画(和田先生写真).jpg

 東京都職員として、東京都補装具研究所、東京都福祉機器総合センターの設立に関わる。東京都介護支援専門員研修会講師、東京都福祉用具選定委員会委員長、福祉のまちづくり審議会会長など歴任。専門は地域福祉論、障害者福祉論など。07年から現職

   わが国では、今後さらに、要介護高齢者の増加、社会的な介護力の低下、介護ニーズの多様化が進み、介護に関する課題の急増が予測されており、要介護者の自立や介護従事者の負担軽減が求められています。

 2013年6月に「職場における腰痛予防対策指針」が19年ぶりに改定され、介護現場での腰痛の労災が多発していることから、介護事業者向けの対策を大幅に加え、人力による人の抱き上げを原則禁止しています。

 介護負担の軽減や支援の効率化の視点から、福祉用具の積極的及び効果的な活用が求められています。それらの現状から福祉用具の利用とサービスの質の向上への期待が高まっています。

 中でも利用者の状況に応じた福祉用具の選定、適合が重要となっています。それを担うのが福祉用具専門相談員と介護支援専門員(ケアマネジャー)です。より専門的な対応のため、12年4月より福祉用具専門相談員による「福祉用具サービスの計画」の作成が義務づけられました。

 福祉用具サービス計画について、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準によれば、「利用者の希望、心身の状況及びその置かれている環境を踏まえ指定福祉用具の貸与の目標、当該目標を達成するための具体的なサービス内容を記載したもの」となっています。

 また、「既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該居宅サービス計画の内容に沿って作成しなければならない」と記されています。これはケアマネジャーとの連携を前提としており、ケアプランに沿った福祉用具サービス計画を作成することが義務づけられ、福祉用具専門相談員は、介護支援専門員と連携を図り、アセスメントや福祉用具サービス計画の作成を行うことです。

 一番重要なアセスメントでは、利用者の希望、心身の状況及びその置かれている環境を確認しながら生活上の課題解決に向けて福祉用具の情報収集と選択・プランニングを行います。選択・プランニングを行う上での情報収集としては、以下の4点が重要です。

①利用者本人の状況と家族の同意

 福祉用具を選択するにあたっては、利用者本人の身体状況の把握や本人の意思の尊重を考えて、家族や同居者の同意を得ます。すなわち本人や家族の思い、使おうとしている目的と合っているかどうかを確認し、福祉用具の導入によって家族の生活の快適さが失われることのないように注意します。

②使用条件と生活条件との整合性

 使用する用具の具体的な特徴を踏まえ、利用者本人の身体機能だけ考えるのではなく生活をどのように組み立てていくのかを本人の能力と照らし合わせながら考えていきます。

 その基本は、安全性の配慮が十分行き届いているかを確認して、適切な福祉用具を選択します。介助者についても、介助者の能力と福祉用具の使い方の整合性が大切です。また、住環境についても考慮が必要です。住宅改修を行うことで使いやすくなる福祉用具や既存の住宅に合わせた福祉用具もあります。

③試用

 福祉用具は使用する場所、利用者本人の生活環境に左右されます。自立支援の観点から日々の生活をしている環境の中で実際に試すことによって、適合がはかられます。使い方を習熟してもらい福祉用具の効果と限界を知ってもらう必要があります。

④社会資源と費用負担

 地域の施設や人的資源についても調べておく必要があります。

 以上を踏まえて、福祉用具サービスを提供することで、利用者の日常生活に対する意欲が向上し、利用者の主体性が尊重されエンパワメントの向上につながることが期待されます。

 これらを通しての視点は、あくまでも自立支援であり自己決定の支援です。

 福祉用具専門相談員は①分かりやすい情報提供②利用者が望まないサービスの確認③介護保険以外の社会資源の可能性 などについて専門的立場から助言を通していくことが、福祉用具サービス計画をより実効性のあるものにしていくと思われます。

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