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シルバー産業新聞

介助者を腰痛から守り、本人にも快適な移乗を

福祉技術研究所代表

市川 洌氏

市川写真.jpgQ リフトとはどのようなものですか?

 リフトはモーターの力で人を持ち上げ、移乗(ベッドから車いすなどへの乗り移り)を行う福祉用具です。心身機能の低下などにより自力で立てなくなった人を無理に立たせたり、抱き上げたりして移乗させるのは、介護現場でよく見られる光景です。

 しかし、このような移乗介助は、介助者が腰を痛めてしまう原因になります。なにより介助を受ける本人にとって、脇の下に手を差し込まれ、強引に持ち上げられるような介助はとても負担になります。

 リフトの利用場面はベッドと車いす、床から車いす、入浴、排泄などさまざまです。介護保険の福祉用具貸与の対象品目で、1割(一定所得以上は2割)の自己負担でレンタルできます。

Q 介助する人・される人どちらにとっても快適に移乗が行える福祉用具なんですね。機械に持ち上げられるのに恐怖感はないのでしょうか?

 はじめは恐怖感や違和感を覚える人が多いのは事実です。しかし、一度体験すると、これほど双方が楽に安心して移乗介助を行える道具はないと感じてもらえるでしょう。利用者の体は「スリング」と呼ばれる布で包み込まれるので移乗中も安定します。介助者はリモコンでリフトを操作し、利用者と会話を楽しみながら移乗介助を行えます。

 リフトは危なっかしいという先入観をもった「食わず嫌い」の人が多いように見受けられますが、リフトの持ち上げを体験してもらえれば、きっとリフトの認識も変わることでしょう。

 リフトの操作は決して難しいものではありませんが、人を持ち上げる機器ですから、使い方は十分身に付ける必要があります。

 福祉用具専門相談員など、専門知識を持っている人に相談するとよいでしょう。スリングの適切な選定などもリフトを安全に使うためのポイントです。

Q 自分で立つことが難しくなった人はみんなリフトを使えばいいのでしょうか?

A 決してそうではありません。例えば立つことができなくとも、座っていられる人なら「トランスファーボード」という福祉用具を利用して横方向に滑らせて移乗することも可能です。自分でできたり、わずかな介助で移乗できたりすることで、本人の自立を支援します。移乗方法は本人の身体機能と介助者の状況などから最適な方法を選択するのがとても重要なのです。

プロフィール

 早稲田大学理工学部卒。東京都補装具研究所にて各種福祉機器の研究開発に従事。その後東京都福祉機器総合センターを経て、2001年から現職。高齢者を中心に福祉用具の適用に関する講演、講習会、執筆、コンサルティングなどを行っている

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