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政府が福祉用具の見直しを検討

要介護2以下の原則自己負担化

 政府は、高齢化に伴う社会保障費の伸びを抑制するために、介護保険で受けられる福祉用具サービスの費用負担の仕組みを大きく変えようとしています。 2015年6月30日に閣議決定された「骨太の方針」の中で、次期介護保険制度改革(2018年度)で、軽度者の福祉用具利用の給付抑制を検討することが盛り込まれました。6月1日に取りまとめられた財政等審議会の建議書の中では、より具体的に、要支援1から要介護2までの①福祉用具貸与②特定福祉用具販売③住宅改修――について、「原則自己負担(一部補助)」に切り替える案が提起されています。さらに財務省は生活援助サービスやデイサービスなども同様の仕組みに見直したい考えです。 介護保険制度では、利用者は費用の1割もしくは2割(合計所得金額が年間160万円以上の人)までを負担する仕組みですが、「原則自己負担」となると、いったん費用の全額を利用者が負担し、収入や資産に応じて、補助が受けられる形に切り替わることになります。

 これはヨーロッパなどで取り入れられている仕組みで、医療や介護などのサービスは、自己負担が原則で、所得や資産の少ない人については、例外的に負担割合を引き下げる方法です。 たとえば、イギリスでは在宅サービスや施設サービスを受ける際、資財産に応じて個人の支払額が決まり、現在は2万3,250ポンド(約395万円)以上の資財産のある人は全額自己負担(10割負担)となっています。

「住み慣れた自宅での暮らし」が危ない
 
 しかし、日本ではイギリスとは異なり、国民の合意の下、介護保険という社会保険方式を取り入れ、平均で月額5,000円を超える保険料を負担することで、必要なサービスを誰もが低額で利用できる仕組みをとってきました。介護保険は40歳から強制加入となるため、保険料を払い続けたにも関わらず、「福祉用具は原則自己負担」と言われても、多くの人は納得できないと思います。

 何よりも、介護保険の福祉用具サービスは、現在、在宅で介護する半数以上の人たちが利用しており、住み慣れた家で暮らし続けるために不可欠なものになっています。そうした中で、福祉用具の費用負担の仕組みを大きく変えることは、在宅での介護を難しくし、結果的にコストの高い人的サービスや施設サービスの利用を助長し、全体の社会保障費を引き上げるおそれがあります。また少子高齢化の伸展で、将来的な介護人材の不足が予測される中、福祉用具が果たす役割はますます重要になってくるはずです。見直しの議論は、来年、厚生労働省の社会保障審議会の場で行われます。本紙を通じて、一人でも多くの方に福祉用具の良さを知ってもらい、社会保障サービスとして維持していくことの重要性を考えてもらうきっかけになれば幸いです(編集部)。

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