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シルバー産業新聞

福祉用具開発助成 最大2,000万円に引き上げ

経済産業省商務情報政策局

ヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室長

 土屋 博史さん    

土屋博史写真.jpg 世界的に少子高齢化が進む中、「健康寿命の延伸」は人類共通の課題です。我が国では、国民皆保険制度の下、質の高い医療が提供されることにより、世界最高水準の長寿国の地位を享受しています。健康な状態を維持しつつ希望するライフスタイルに沿って、実り豊かな生活を営めるような健康長寿社会を形成することが大きな課題となっており、政府としても、2015年6月に策定した「日本再興戦略 改訂2015」において、引き続き国民の「健康寿命の延伸」を戦略的に取り組むべき分野と位置づけ、関連施策を推進しています。
 
 こうした中、高齢者や障がい者の方々の生活の質の向上や自立の支援、社会活動への参加、介護に携わる方々の負担軽減などの観点から、福祉用具及び福祉用具産業が果たすべき役割はこれまで以上に高まっています。日本福祉用具・生活支援用具協会が実施した2013年度福祉用具産業の市場規模調査(工場出荷額)では、調査を開始した1993年度に7,735億円であった市場規模は、13年度には1兆3,483億円と約1.7倍に成長し、対12年度比でみても9.2%の増加となっており、今後も引き続き拡大傾向であることが想定されます。

 このような背景を踏まえ、経済産業省では、福祉用具産業の発展に向けて、大きく2つの取組を推進しています。1つ目は福祉用具の開発・実用化及び普及の推進です。福祉用具法に基づき、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて、優れた技術や創意工夫のある実用的な福祉用具の開発を行う民間企業等の開発費用の一部を助成しています。事業を開始した93年度から14年度までに216件の開発支援を行い、このうち100件以上が実用化され、高齢者や障がい者、介護者の方々の生活の質の向上や負担の軽減に貢献してきています。さらに、本事業では15年度から、助成上限額をこれまでの1,000万円から最大2,000万円に引き上げるとともに、より多くの人々にとって使い勝手がよく共に利用しやすい製品の開発・実用化を推進するため、福祉施設や介護施設等のユーザー評価を実施できる機関との連携による開発体制を整備するなど、支援体制を強化しています。

 2つ目はロボット介護機器開発及び導入の促進です。経済産業省と厚生労働省は、ロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出のため、「ロボット技術の介護利用における重点分野」(12年11月公表・14年2月改訂)を策定し、本年度はロボット介護機器開発・導入促進事業として25.5億円の予算を確保し、医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進・成果の円滑な実用化等を総合的かつ効果的に行うため、本年4月1日に新たに設立された「国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)」において、開発支援を行っています。同時に、ロボット介護機器の安全・性能・倫理基準の策定等、導入環境の整備も進めているところです。これらの取組を通じて、介護現場の負担軽減及び高齢者の自立支援に資するロボット介護機器の導入・普及を積極的に推進していきます。

 その他、安全性に優れた福祉用具の開発・普及や利用者への適切な情報提供が重要です。車いすや視覚障害者用誘導ブロック等のJIS規格の整備の推進や、アジア諸国など海外市場を開拓するため、国際標準化の推進を行うなど、福祉用具産業の競争力強化にも取り組んでいます。また、産業の力により多様な高齢者ニーズにきめ細かく応え、生き生きしたセカンドライフをデザインし提供することを主要な解決手段と想定し、IT利活用の可能性や高齢者のセカンドキャリア作りの支援モデルなど、活力あふれる超高齢化社会の実現に関する取組を進めています。経済産業省としては、今後ともロボット技術など我が国が得意とする技術を活かしつつ、社会に求められる安全で使いやすい福祉用具の実用化開発を推進するとともに、海外展開、製品事故防止の取り組みを進めるなど、福祉用具産業の更なる発展に向けて取り組んでまいります。

プロフィール

 1998年通商産業省(現在の経済産業省)入省。これまで、エネルギー政策(省エネ・再生可能エネ推進政策等)、ロボット政策(技術開発、産業振興)、中小企業政策等のほか、内閣官房(総理官邸)に出向。14年6月より現職(15年9月現在)

  • 福祉住環境コーディネーター検定試験
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