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シルバー産業新聞

リハビリの意欲を起こさせた福祉用具

 2002年、10月1日が「福祉用具の日」に制定され今年で11回目を数える。介護用ベッドや車いすなどをはじめ福祉用具は今や広く浸透、身体機能が衰えた人々の日常生活をカバーするのみならず、ショッピングや外食など利用者の楽しみまで実現させることで、高齢者や障がい者に精神的な満足感をもたらしている。本紙では福祉用具を活用して前向きに在宅生活を過ごす夫婦を紹介すると共に、専門家の方々に福祉用具の適切な使い方や住宅改修のメリットを解説していただいた。

移動用リフトで介護負担が大幅減少

 滋賀県大津市在住の中西絹子さんは、ご主人の中西良三さんと2人暮らし。良三さんはこれまで2回脳卒中で倒れ、現在要介護4。絹子さん72歳、良三さん76歳。典型的な老老介護世帯だが、「確かに主人が重度になった当初は苦労しました。同時に介護を続ける中で、介護保険や、それを支える職員、福祉用具のありがたみも痛感しました。それらが整っていなければ、今の落ち着いた生活は成り立っていません」と絹子さんはきっぱり語る。

 2度目の脳卒中で倒れた時、良三さんの症状は重く、一命はとりとめたものの、後遺症として両手足にマヒと発声障害が残り、寝たきりの状態になっても不思議ではなかったそうだ。ただ良三さん自身は自宅での生活を強く希望、絹子さんも何とかその望みを叶えさせたいと思った。約1年半前良三さんは病院の許可を得て退院する。

 2度目の入院前、良三さんは要支援だった。その時から良三さんを担当していた福祉用具専門相談員の榮福悠介さんは、絹子さん、ケアマネジャーと相談し、要介護4になった良三さんの退院後の在宅環境の整備をする。ポイントは良三さんの安全な自立生活の促進と絹子さんの介護負担の軽減だった。

 従来の歩行車での移動が難しくなったため、まず車いすの導入を検討。ベッドから移乗しやすいように肘かけが上がる機種にし、屋内で使用するためコンパクトなタイプを選定。また立ち上がりや起き上がりが困難になったためベッドは介護者の負担軽減も考慮し、高さ調整と背上げができるベッドを導入した。同時に夜間尿量が多いことに配慮し、マットレスは防水加工タイプに。一方住宅改修ではトイレとトイレまでの動線に手すりを設置したが、絹子さんが要望する「生活リハビリ」実現のためにトイレの段差解消はあえて行わなかったという。

 これら福祉用具導入のポイントは今年4月から導入された福祉用具サービス計画書に明記されている。

 当初絹子さんは夜間の尿量があまりに多いため、頻繁なおむつ交換で心身共に疲労困憊の状態になったそうだ。幸い病院で導尿器を設置することでおむつ交換の問題は大幅に改善される。介護と医療の円滑な連携とも言えよう。

 元々明るい性格の絹子さん。おむつ交換の手間から開放されると「介護にも余裕が出てきた」そうだ。その気持ちが良三さんにも伝わったのだろう。やや内向的になりかけていた気分が晴れ、リハビリにチャレンジする意欲が湧いてきたそうだ。外出は自立を大きく促進する。そこで1週間に4日のデイケアと1日の訪問リハビリに取り組みはじめた。

 ところが外出には問題があった。玄関の上がりかまちが高く、自宅の車いすからデイケアの車いすに移乗するのに多数の人手を要し、さらに転倒のリスクも少なくない。

 「榮福さんに相談すると、すぐに玄関にコンパクトな移動用リフトを設置してくれたのです。移乗が非常に楽になり、転倒の危険もまずありません。こんな便利な福祉用具があったのかと、驚いたほどです」と絹子さんは深く感謝している。

 リハビリの成果は確実に出ているようだ。良三さんは現在食欲も旺盛で、日中ベッドで寝ていることは一切なく、車いすで一日を過ごす生活を続けている。服薬も降圧剤と睡眠薬の2種類だけだ。

 絹子さんは、今では趣味のカラオケに出かけることもあるという。「実は先日リハの先生がカラオケ用の音楽を録音してくれ、リハビリ中に主人がカラオケを口ずさんでいました」と嬉しそうに語る。良三さんの趣味もカラオケ。夫婦でカラオケボックスに出かけ存分に唄を歌う日が来ることを祈りたい。

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  • 昇降機能を備え、マットレスは防水加工
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  • 外出を容易にした移動用リフト
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  • リハビリに励む中西良三さんとそれを支える妻の絹子さん。ご自宅で
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