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災害時における福祉用具の活用~協会の取組みから~

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日本作業療法士協会

理事 大丸 幸氏

 

 

 

 作業療法士の役割には、人々が日常の活動に参加できるように、もっている力を強化することや、参加を支援するために福祉用具を活用する、良い環境を整備するということがあります。

 このたびの東日本大震災でも、これまでの生活仕様が一変したことで、心身のケアはもとより、子供から大人までの生活環境の調整や福祉用具の適合の必要性が高まりました。こうした緊急避難時では、個人の生活環境や障がいの特性に対応できるように、作業療法士がこれまで医療現場や在宅訪問等で経験している福祉用具の適合について、当事者や支援者仲間と協働しています。例えば段差解消のためのミニスロープの角度や幅の不具合、あるいは台所での家事動作の動線に戸惑っておられる方もおられるでしょう。このような日常活動に参加する上で生じている不具合について、必要な福祉用具や環境の微調整が作業療法士の仕事ですから、誰からでも何度でもご相談いただける作業療法士を目指しています。

 また、福祉用具は生活の不具合を解決する手段としてだけでなく、福祉用具の使い勝手の視点も大切です。例えば下肢筋力が低下している方に対して、外出する際に杖歩行や車いすの利用を提案しても、実は住み慣れた生活環境では杖や車いすより安全な歩行場所や方法を心得ている場合があります。そのことを尋ねたり、実際に試さないままでは、選択した福祉用具が障がいになることもあるからです。

 日本作業療法士協会では災害支援ボランティア派遣等を通して、心身機能の活性化を図る目的で、避難所で布草履づくりの作業活動を行いました。布草履に興味を示すことで癒される人、作業手順を覚えようとする人、祖母の足に合わせてみる人、等々、作業活動では人が持っている力を発見、強化していくことができます。

 こうした場では、日常生活で心得た移動手段や杖・車いすの安全操作の経験等が自ずと語られたりもします。作業療法では、心身や生活機能を理解することを基本として、様々な作業を通じて人々が日常の活動に参加できるような生活環境の点検・整備や福祉用具の適合・改良およびその成果が当事者に満足されるものであるかを見守り、必要な修正を行っていきます。

 このように作業療法は、作業活動を通して健康と安寧を促進することに関わる専門職であることから、人々が日常の活動に参加できるように、医療機関や在宅訪問だけでなく、地域での暮らし、特にこの度のような災害地域での福祉用具の適合・活用にお役に立てるように頑張っていきます。 

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