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福祉用具援助 「総合的援助の方針を見据え、・・・」

「総合的援助の方針を見据え、ニーズから考える福祉用具選定」

kanazawa_f_2011.jpg株式会社バリオン / 介護環境研究所代表

医学博士 金沢 喜智 氏

プロフィール
1997年(株)バリオン/介護環境研究所代表。医学博士工学博士(建築学)。

 

 1.ケアプランにおける「総合的な援助の方針」の重要性

 介護保険におけるサービス提供者にとって、居宅支援計画書(ケアプラン)が最も重要であることはあえて言うまでもない。ケアプランは、介護支援専門員(ケアマネ)がアセスメントを行い、その分析結果に加え、利用者やその家族を取り巻く様々な状況を踏まえて作成される「(利用者の)生活継続のための処方箋」と言えよう。この中に書かれていることのすべてが重要なのであるが、それらの中でも特に重要で、ケアプランに従ってサービスに関わるすべてのサービス者が把握と理解に努めなければならない部分が、第1表の「総合的な援助の方針」であると考えている。

 この総合的な援助の方針は、利用者に生活を継続してもらい、人生を謳歌してもらうために、どのようなサービスが必要であるかについて検討するときの指標である。そしてサービス者を含む、関わるすべての人が行動するときの目標でもある。この目標を達成するために「サービスチーム」が結成され、それぞれがケアプランに従って、適時・適切・適量のサービスを実行するのである(そうであってほしい)。福祉用具専門相談員は、福祉用具を選定・導入することによって、この目標達成のためにどのような貢献ができるのかについて、常に意識し、深慮する必要があると考える。

 「歩けなくなったから、車いす」「起き上がれないから、特殊寝台の背上げ機能」、「壁もつかまるところもないから、手すり(貸与)」という短絡的なサービスではなく、そのようなサービスを行ったことによってもたらされる「利用者の生活継続と人生謳歌」を見据えて、ケアマネの立てた総合的な援助の方針を達成するために、奮闘してほしいところである。

2.ニーズの明確化の重要性

 ケアプランの第2表はもちろん、全国福祉用具専門相談員協会(ふくせん)による福祉用具個別援助計画書にもあるが、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」は福祉用具が関連するサービスの原点である。ふくせんでは、このニーズをケアプランの当該箇所から転記する。」と言うことになっているが、この場合、機械的に転記するその前に、福祉用具専門相談員として「ニーズの全体を明確化させる作業」が必須となる。ちなみに、このニーズをあえて一言で言うと、「何らかの支援を必要とする利用者が、その生活(人生)を継続できない原因および問題点」である。言い換えると、「○○がしたい」という切なる要望があるものの、それらが叶わない現状である。

  たとえば、図左側の状況である利用者のニーズを考えた場合、多くのケアプランには図右側の下の部分のように「これまで通り、独り暮らしを続けたい。」とだけ、書かれていることが多い。これは、ニーズの一部分だけが記述されているのである。福祉用具専門相談員は、記述されていない隠れた部分を、自らが収集した情報を元に、図右側の上の部分のように考え、明確化することが重要である。そして明確化した後であれば、ケアプランから個別援助計画書へのニーズの転記も、より深い意味を持つことになる。

すべてのサービスは「ニーズから始まる」と言われ、福祉用具の選定およびその理由を示す上でも、ニーズを明確化することが基本中の基本と言えよう。繰り返しになるが、ニーズが明確であるからこそ、適時・適切・適量のサービスが行えるのであると言うことを、忘れてはならない。

3.まとめ

 介護保険が始まった頃、福祉用具導入時に商品名を指示し、福祉用具専門相談員を単なる「用具の搬送屋」と理解していたケアマネも僅少となり、最近は専門相談員に対して利用者の状況等の情報を伝えた上で、福祉用具専門相談員による「福祉用具の提案」を求めるケアマネが増えていると聞く。このことは、まさに福祉用具によるサービスが、訪問看護や訪問リハなどのサービスと同じ次元でとらえられてきているものと理解できる。

 今後はさらに「福祉用具庫別援助計画書」の作成によって、さらに専門家としての地位を確立してもらいたい。その時の一つの過程として、ケアマネが心血を注いで作成したケアプランを、これまでの数倍、読み込んで理解してもらいたいと思う。そうすることで行われる福祉用具によるサービスによって、これまで以上に多くの利用者に感謝されるようになると確信している。

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<福祉用具の日しんぶん2011年号>

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