ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

豊かな在宅生活実現 福祉用具・住宅改修

  2000年に介護保険がスタートして10年。レンタル品目を中心に福祉用具や住宅改修に対する人々の認識は徐々に高まりを見せつつある。介護施設や病院、そして家庭にと、今日福祉用具はいたるところで利用され、とりわけ高齢者や障がい者が豊かな在宅生活を営むために、福祉用具や住宅改修が欠かせなくなったといえよう。それは地域に福祉用具がしっかりと根付きつつあることを示している。本紙では住宅改修や福祉用具の導入で自宅で活き活きと暮らす利用者を紹介するとともに、福祉用具の導入方法や賢い使用法を専門家の方に解説いただいた。

 

035.JPG 90歳を超える高齢でも元気に在宅復帰 

  大分県中津市在住の木村フミ子さん、95歳。弟夫婦、姪夫婦との5人暮らしで、趣味の折り紙を楽しむ毎日だという。トイレこそポータブルトイレを使用しているが、歩行器で家の中を歩き、耳がやや遠い程度で会話もそれほど不自由はない。

 ほぼ2年前08年の9月、木村さんは自宅で転倒、大腿骨骨折という大事故にあった。急性期病院などを経て中津市の老健施設創生園(高椋清施設長)に入所したのがその年の12月。健清会は入所差の在宅復帰に意欲的な老健施設として名高い。 

 当所施設スタッフに木村さんの在宅復帰に確証があったわけではない。「90歳を超す高齢ということを考えれば、難しいこともあります」(創生園五十川順総合支援センター長)。

 ただ木村さんはリハビリに熱心だった。ベッド上での起き上がり、その後車いすへの自力での移乗を続け、歩行器を使った歩行訓練も重ねた。高齢だから改善の速度はきわめて遅い。それでも徐々に木村さんの運動器能力は回復していったという。入所からほぼ1年後+健清会は木村さんの在宅復帰が可能だと判断したそうだ。

 木村さんの在宅復帰のためのポイントを同園支援相談員の兵藤和浩さんが解説する。「特殊寝台と車いすは貸与。当初は庭から直接寝室に移動できるよう、車いすの移動用リフトを設置しましたが、本人のリハビリが進み、家族が車いすに慣れることで半年後には撤去し、玄関から入られると判断しました」。

リフトのレンタル費用は1カ月2千数百円。ローコストで利用者の状況に応じて導入や撤去ができるのはレンタル制度の大きな利点だ。

 さらに兵藤さんはこう続ける。「住宅改修の中でも、段差解消は在宅で生活できるかどうかの大きな鍵。大きい段差は本人も介護者もいしきしますが、廊下とら寝室や居間などにある小さな段差を絶対に見逃さないことです」。もちろん木村さん宅にも、いたるところにミニスロープが取り付けられている。半年後には兵藤だんの予測どおり玄関からの出入りが可能となり、昇降機は取り除かれた

 木村さんは現在要介護3。週に3回創生園にデイケアに通うことを楽しみにして日々を家族と豊かに過ごしている。

 

010.JPG 手すりだけで階段の昇降が可能に

  「自宅に戻れたときは本当に嬉しかった。施設での訓練のおかげでだいぶ元気になりましたよ。今ではお風呂も一人で入れます」。こう快活に笑うのは永添トシ子さん、69歳。夫婦二人暮らしだ。

 永添トシ子さんは一昨年の8月にが脳梗塞で倒れた。近医で治療を受け命に別状は無かったが右半身にマヒが残り、その年の12月に創生園に入所した。

 

 「入所時は要介護2。本人も在宅生活を望んでおられ、リハビリの効果が十分に得られれば在宅生活は可能だと判断しました」(五十川センター長)。右半身特に右足の麻痺が強かったという永添さんに対し、同園のリハビリスタッフは毎日1時間ずつ安定した歩行が出きるよう訓練を続けていく。一日も早い在宅復帰を望む永添さんの意欲もリハビリの効果を高めたという。

 入所から1カ月半後、つたい歩きが可能になった永添さんに退所の許可が出た。「出入りが難しいトイレの入り口など、要所要所に手すりを取り付ければ、ご主人の介助により通常の在宅生活は可能です。最大の難関は玄関。道路から家に入るまいくつもの段差がありました。しかし身体状況を判断して玄関口に手すりを取り付け、ご主人の支えがあれば出入りは十分に可能と判断しました」。そして木村さん宅同様、永添さん宅にも屋内に小さな段差を解消するミニスロープを4カ所設置した。

 施設から在宅に戻るときやはり一番のリスクファクターは転倒。ただそれを恐れるあまり「過剰な住宅改修や福祉用具の導入は、いわゆる日常リハビリの妨げになります。介護職員にはその難しい判断が求められます」(五十川センター長)。

 在宅復帰後も創生園に週に2回デイケアに通う永添さん。「自宅に戻ってきて1年8カ月。さらに元気になしました。もっと元気になって自分の店(スナック)にも出たい」と右半身麻痺を克服し、希望を語る永添さん。要介護度も1まで回復し、最近は歩行器で自宅周辺を歩いたりもするという。

 障害を抱えても自宅で過ごしたいと願う高齢者は多い。それを実現できるかどうかは本人の意欲と家族の協力、介護職の熱意に左右されることが多い。そしてその夢を実現する不可欠な要素が福祉用具や住宅改修だといえよう。木村さんや永添さんがそのことを教えてくれる。

<2010年度版>

  • 福祉住環境コーディネーター検定試験
  • SSL グローバルサインのサイトシール