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それって本当に認知症ですか? 【認知症ケア最前線 3】2019年11月18日11時35分

 

                      医療法人社団京浜会 京浜病院 院長 熊谷賴佳さん

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 認知症には▽アルツハイマー型認知症▽レビー小体型認知症▽前頭側頭葉変性症▽脳血管性認知症▽進行性核上性麻痺▽皮質基底核変性症▽嗜銀顆粒性認知症▽神経原線維変化型老年期認知症▽石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病▽ハンチントン病――などがあります。ここでは、最も代表的なアルツハイマー型認知症について解説します。

 

間違えやすい「認知症」 と 「認知障害」

 

 「認知」とは①自分のまわりで起こっている出来事を「感知」②脳が正しく「反応・処理」③脳の処理に応答して声を出したり、動いたりする「出力」――の3段階があり、この3つのうち、どれかが正常に働かなくなることを「認知障害」と言います。

 この「認知障害」は「認知症」とイコールではありません。医師の中には勘違いして、認知障害の利用者を誤って認知症と診断するケースがあります。

 認知障害は、高齢者だけではなく一般の人でも起こりうるもので、認知障害を引き起こす主な疾患としては▽精神疾患▽脳腫瘍▽臓器不全――など多岐に渡っています。

 この他、40度近い熱が出ているときは意識が朦朧として記憶が定かではなくなり、判断力が低下し、まるで認知症のような症状に見えることがあります。これも一時的な認知障害の一つですが、熱が下がるとその症状はなくなります。

 認知障害には原因があり、治療することで治せます。しかし、認知症の場合はいまだに原因が解明されておらず、特効薬的な薬もないのが現状です。認知障害が起きているが、はっきりとした原因疾患が見つからないときに「認知症では?」と疑います。

 また、認知症=物忘れの病気だと思っていませんか。ふとした時に名前が思い出せず「アレアレ」といった経験は誰でもあるでしょう。けれどしばらくして思い出すことができれば、現時点で認知症の心配はありません。しかし、アドバイスをしても全く思い出せない場合などは認知症の恐れがあるので、かかりつけ医に相談してください。

 

認知症の3つの時期をきちんと理解しよう

 

 原因が分からない、特効薬がないと聞くと、認知症がとても怖い病気だと思われるかもしれませんが、正しく理解することで、認知症の方と介護する人が共存していく環境を作ることができます。

 認知症には、記憶障害など認知症になると必ず出現する「中核症状」と、せん妄や徘徊など出現の有無に個人差がある「周辺症状(BPSD)」があります。私が院長を務める京浜病院に訪れる方はこの周辺症状に困っていることが多いです。

 そこで、アルツハイマー型認知症特有の周辺症状(BPSD)を①混乱期②依存期③昼夢期――の3期に分けました()。

 各段階に応じた対応をすることで、周辺症状を速やかに改善することができます。

①混乱期

 まず、「混乱期」では、険しい表情で眉間にシワを寄せて困ったように見える表情が特徴です。幻覚や妄想による不安や混乱、昼夜逆転生活などの周辺症状が挙げられます。混乱期には、可能な限り好きにさせておくことが理想です。

 私の病院では、少量・微量の抗精神薬を短期間処方しています。そして、混乱期が治まったら速やかに薬の減量→投薬中止しています。典型的なアルツハイマー型認知症であれば、早ければ数日、遅くても一週間くらいで沈静します。

 混乱期が治まっているのに投薬を続けると悪化する可能性があるので、医師とよく相談してください。

②依存期

 依存期の周辺症状は「甘え」の現れで、すぐに泣いたり、寂しがる、声・音を出して人を呼ぶなどの行動がみられます。

 寂しさの原因を追究して取り除くことが依存期の介護のポイントです。なるべく一人にせず、頻繁に接触することを心がけてください。

 依存期になったら、抗精神薬は中止して、抗てんかん薬に切り替えています。依存期は混乱期に比べると長く、数週間から数カ月に渡って続くことがあります。

③昼夢期

 周辺症状が沈静化すると、自分の空想の世界で本当に生きていると思いこむようになります。例えば、施設や病院を自宅だと思ったり、職員を家族だと思ったりします。表情も穏やかになり、笑顔が見られるのが特徴です。

 昼夢期の方に対しては、幻覚を否定したりせず、夢から覚めないよう、聞き入れてあげてください。混乱期、依存期に比べ、長く続きますが、落ち着いた療養生活を送ることができるのであれば、私は良いと思っています。

 混乱期から依存期、昼夢期は少しずつ遷移していきます。3段階の分類と時期を見極めて、適切な介護につなげてみてください。

 

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今からやろう!認知症予防

 

 「認知症は、究極の生活習慣病である」と言われています。生活習慣を見直すことが、健康増進はもちろん認知症予防にも繋がる可能性があるということです。以下の内容に心当たりがあるかたは、是非改善を心がけてみてください。

 

 不適切な食習慣

 脂肪の過剰摂取、野菜が苦手、20歳代に比べて体重が10㎏以上増えた、午後9時以降に食事をすることが多い、1日2000cal以上摂取、食塩を1日5g以上摂取など。

 運動不足

 毎日1万歩以上歩かない、週3回以上汗ばむ運動をしない、前屈で両手が床に付かないなど。

 ストレス過多

 1日の睡眠時間が6時間以内(睡眠不足)、夜なかなか寝付けない、早朝覚醒して再入眠できないなど。

 飲酒

 1日のアルコール摂取量が25g以上、週6回以上飲酒、一気飲みすることがある、深酒することがあるなど。

 喫煙

 1日10本以上吸う、10年以上喫煙、タバコを吸わないと落ち着かずイライラする、何度も禁煙したが成功しないなど。

 

 生活習慣の見直しは継続しなくては意味がありません。楽しく取組んで認知症予防に繋げてください。そして、不安なことがあったら、かかりつけ医に相談してください。

 

(くまがい・よりよし) 1977年、慶応義塾大学医学部卒業、東京大学医学部脳神経外科学教室入局、東京警察病院脳神経外科勤務。84年、寺岡記念病院脳神経外科勤務、京浜病院勤務。85年、新京浜病院院長。92年、京浜病院院長就任。2000年4月より医療法人社団京浜会設立、常務理事。12年、医療法人社団京浜会理事長、18年理事。現在に至る。著書に「認知症予防と上手な介護のポイント」など。

介護の日しんぶん 2019年11月11日

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