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若年性認知症当事者の全国組織が必要だ (千田 透)2019年9月19日18時14分

 

 千田透の 時代を読む視点 (71)

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 政府の「認知症施策推進関係閣僚会議」が、6月18日に新オレンジプランに代わる、新たな認知症対策の基本方針「認知症施策推進大綱」を取りまとめた。

 同大綱の柱は①普及啓発・本人発信支援②予防③医療・ケア・介護サービス・介護者への支援④認知症バリアフリーの指針・若年性認知症の人への支援・社会参加⑤研究開発・産業促進・国際展開――の5つから成り、「共生」だけでなく、「予防」が基本理念に掲げられているのが特徴だ。

 予防に関してはエビデンスを収集し、正しい理解に基づく「備え」を全国各地で展開していくことで、「70代の認知症の発症年齢を、今後10年間で1年遅らせることを目指す」としているが、認知症の発症時期に関するデータがないことや、確かな予防方法が確立されていない中で、先に数値目標が掲げられていることには違和感を覚える。

 こうしたことが強調され過ぎてしまうと、早期に認知症と診断された人は「努力が足りなかった人」、あるいは「脱落者」のような、誤った印象を与えることになり、危険なことだ。

 確立されていない予防の数値目標を掲げるよりも、これまでの認知症施策で掲げてきた目標が、現時点でどの程度まで実現できて、何が足りないのか。きちんと検証や総括を行った上で、新たな目標を掲げることの方が大事であろう。

 例えば、現状1144万人養成されている認知症サポーターが、どのような活躍をしているのか。あるいは、認知症初期支援集中チームがどのような対象にアプローチし、どのような役割を果たしているのかなど、こうした視点から施策を評価し、必要な見直しを行っていくことが、たとえ認知症になっても住みやすい世の中を実現していくことにつながっていく。

 一方で、今回の大綱で個人的に評価したいのは、若年性認知症の人への支援を柱に掲げたことだ。若年性の認知症については、独自の制度があるわけではなく、専門の社会資源がほとんどないため、効果的な支援策を見つけられていない状態と言っていい。診断の確定に辿り着くまでに時間がかかり過ぎていることや、仮に診断が行われたとしても、適切な支援やフォローが乏しく、「早期発見、早期絶望」といった言葉で表現されることもある。

 今回の大綱では、▽若年性認知症の実態把握▽若年性認知症支援コーディネーターの体制検討▽若年性認知症支援コーディネーターのネットワーク構築支援▽若年性認知症コールセンターの運営▽就労支援事業所の実態把握――などが掲げられているのは一歩前進だが、大事なのは、その中身をどう作っていくかだ。

 市町村に丸投げではうまくいかない。国がより効果的なやり方を示していく必要があるだろう。そのためにも、個人的には若年性認知症の当事者の人たちの全国組織が必要だと考えている。

 当事者の声を基に、認知症支援コーディネーターの体制、コールセンターの運営方法、就労支援の方法などを検討してくことが、真の「共生社会」を実現していくことにつながっていくはずだ。

 

2019年7月10日号

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