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地域力発見 (74) 宮下今日子 〝本人〟 を中心に置いていますか? [2019/03] 2019年7月10日00時01分

 

意思決定支援を考える

 神奈川県介護支援専門員協会は、地域連絡会との連携を図っているが、2月には相模原市で大規模研修会を開いた。当日は、主に相模原市内のケアマネが150人ほど参加。市内事業所の好事例6ケースの発表や、メインテーマ「生き方、住まい方、暮らし方を決めるとき」と題する講演やシンポジウムに耳を傾けた。

 大会を共催した「さがみはら介護支援専門員の会」は、約300人が入会する任意の団体で、組織率も高い。同会会長の臼井意氏(福祉村居宅介護支援センター)は、今回のテーマについて、「本人の意思決定支援のあるべき姿について考える機会としたい」と会場に呼びかけた。

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 まず、成年後見制度の後見人を務める千木良正弁護士の基調講演から始まり、これを受けて医師、MSW、認知症サポーター、介護家族が意見を述べた。

 人間はたとえ人の世話になっても、自己決定権は保障されていて、それは憲法第13条の「基本的人権」が定めるところであり、成年後見制度では民法858条の「意思の尊重義務及び身上配慮義務」で自己決定権が保障されていると千木良氏は整理。

 後見人は、本人の大切な財産や生活、療養看護を預かる立場にあるが、「意思の尊重義務」と「身上配慮義務」について事例を挙げて説明すると、会場に緊張が走った。

 あるデイサービスで、杖歩行の利用者がトイレに行く際、中まで介助を申し入れたが拒否されたので、そのまま車いす用のトイレに一人で入った。そこで、転倒し入院。利用者は事業所に賠償金を請求し、結局、裁判官は事業所に1200万円の罰金を言い渡した。

 この事例は、利用者の意思は尊重した(「意思の尊重義務」)が、転倒リスクという身上の配慮(「身上配慮義務」)を怠った点で事業所が責任を問われた例。

 デイなどではヒヤヒヤする話だが、たとえ認知症があっても、分かりやすく、本人が理解できるように説明する必要があり、繰り返し説明したり、図や表を用いるなど、意思決定支援のプロセスに力点を置く必要が示された。

 この基調講演を受けて、土肥直樹医師(内郷診療所所長)は、地域包括ケアの植木鉢モデルやビュートゾルフの玉ねぎモデルの図を挙げ、「中心に置かれているのは、医師でなく本人ですね」と言って会場を和ませた。「在宅医療をやって初めて分かったのは、医師には生活は見えないので、ケアマネや他職種が必要なこと」と正直に明かす。

 土肥医師は、マギーズ東京(秋山正子代表)が行う患者との対話実践に多くの示唆を受け、現在は、臨床倫理の四分割表や、患者のセルフケア能力を評価する質問紙「SCAQ」を使って利用者の思いを掘り下げ、在宅を支えているそうだ。

 医師は本人に対してすぐに施設へ、ケアマネはデイへと言っていないだろうか。医療・介護は専門職によって支えられているが、中心にいるのは本人。自立支援も包括ケアも、出発点を今一度確認したい。

 介護家族の徳田富美子氏は、「ケアマネジャーは本人に寄り添って声を聞いて欲しい。聞いてくれるケアマネを本人は一番信頼するんですよ」と力説。

 「信頼」は重い言葉だ。日々変わる気持や言葉の裏側も含めて、本人の意思を汲み取る力を意識的に磨かないといけないのだろう。

2019年3月10日号 17面

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