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千田透の 時代を読む視点 (68) 効果的かつ効率的な実地指導が必要 [2019/04] 2019年7月 9日00時00分

 

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 実地指導については、2005年度までは老健局長通知の「介護保険施設等の指導監督について」の「主眼事項及び着眼点」をもとに実施されてきたが、項目に沿ったチェックと、指摘型指導の原因となり、形骸化していたため、06年度に廃止された。

 それにより、各自治体が行う実地指導は、各々の方法で行われることになり、指導方法や指導基準のばらつき、ローカルルールの横行などが問題点としてしばしば指摘されてきた。

 一方で利用ニーズの増大を背景に、介護サービスを提供する事業所は約24万事業所に上り、増加傾向が続いている。しかし、実地指導を行う都道府県や市町村の人員には限りがあり、指定有効期間内に1度も実地指導を行えていない自治体も多い。実地指導を受けない事業所が多く存在することは、提供しているサービスにチェックがかからず、利用者が不利益を被る可能性なども高くなる。行政の目が届く、効率的な実地指導の方法が必要だ。

 こうした状況に対して、厚労省では確認すべき文書量などを大幅に削減する「標準的な確認項目」を示す予定になっている。どれぐらいの確認項目が削減されるかと言えば、例えば訪問介護だと従来と比べて約90項目から40項目程度に、居宅介護支援では約100項目から25項目程度に、介護老人福祉施設では約140項目から50項目程度に削減する考えが示されている。確認しないリスクよりも、より多くの事業所の実地指導を行うことが重要とする考え方だ。

 これにより、指定有効期間中に最低でも1回以上の実地指導が行われるようにしていく考えになっている。事業運営に特に問題が認められない事業所については、実地指導ではなく集団指導のみとするなど、メリハリの効いた指導を展開していく方針が示されている。

 確かに事業所数の増加や自治体の人員体制を考慮すると、こうした見直しはやむを得ないが、不正事案の増加などにつながることがないよう、確認項目縮減後の実態については、検証していく必要があるだろう。17年度に指定取消・効力の停止処分のあった介護保険施設・事業所数は257件と、過去最高を記録しているためだ。

 一方で実地指導自体は、サービス提供状況などを直接確認することで、事業者の気付きを促すなど、よりよいケアの実現を図るための有効な取り組みである。確認する文書や項目を大幅に削減することで余裕が生まれる分、ケアの質の向上につながる内容をしっかりと見ていくことが重要だ。

 その際、良い取り組みを行っている事業者や施設に対しては、積極的に評価を行い、公表するなどして、地域全体のサービスの質の向上につながる指導を行っていくことが必要であろう。

 昨年4月からは、居宅介護支援の指定権限が、都道府県から市町村に移譲されている。都道府県と市町村との間で指導基準の差やローカルルールなどが生じれば、効果的かつ効率的に指導監督を実施していく流れとは逆行することになる。都道府県と市町村の間で齟齬が生じることがないように、情報共有や適切な支援など、指導監督上の十分な連携が求められる。

 国においても自治体間で指導内容の差異などがでないよう、さらなる指導監督業務の標準化に向けた取り組みが必要だ。

 指導監督業務の適切な実施が、介護保険制度への信頼性を維持し、制度の持続可能性を高めていくために欠かせない。

2019年4月10日号 6面

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