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地域力発見 (60) 宮下今日子 ニュージーランドの障害者福祉に学ぶ [2018/01]2019年2月21日16時50分

「社会モデル」で “人生マップ” 語る (東京都世田谷区)

 世田谷区の区立身体障害者自立体験ホーム「なかまっち」で生活相談員をしている三木義一氏は、内閣府の地域課題対応人材育成事業「地域コアリーダープログラム」に参加し、ニュージーランド(以下、NZ)に派遣された。この事業は、高齢者、障がい者、青少年の3分野にわたり、社会活動の中心的担い手となる青年リーダーの育成をめざし、先進事例のある外国へ若者を派遣する国の事業。

 地域で障がい者問題に取り組む「わんの会」(障がい福祉に携わる若者の会)はこのほど、三木氏を招き「ニュージーランドで考えた、ニーズがつなぐ人生マップ」と題する対話型ワークショップを開いた。代表の田坂知樹氏(有限会社サポートステーション)は、NZの考え方をモデルに  “人生マップ”  を作ろうと挨拶した。

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 NZの面積は日本の約4分の3。人口約450万人。羊の数が3000万頭という話に場が和む。公用語は英語だが、先住民族のマオリ語と手話も公用語になっている。マイノリティを大事にする意識が伺えると三木氏は称賛する。

 NZは障がい者手帳も障がい区分認定も存在しない。しかし、障がい者の割合は日本の6%に比べ、24%とかなり高い。生活上の困難が6カ月以上続くと、自己申請により障がい者となる。社会保障や医療等の財源は保険ではなく税金で、支援は政府機関の委託を受けた民間相談機関がアセスメントからサービス支給決定、調整を行い、サービス事業者に繋げる。医師による診断を必須とし、支給決定を行政が行う日本とは大きく異なる。

 認定調査シートの項目を比較すると、日本は「できる」「できない」で判断する傾向があるのに対し、NZは必要な支援の内容に重点を置く。例えば「可動性」については「家や地域での可動性と必要な支援」「移動・交通手段とアクセス方法の確認」「転倒の危険性と立ち上がる方法の確認」という具合だ。

 施設は、大規模入所施設は2007年までにすべて解体・閉鎖し、居住支援に力を入れ、08年に国連の「障がい者権利条約」を批准。その理念である「社会モデル」を重視してきた。障がいを、本人の持つ機能障害ではなく、個々人の機能障害と社会(態度、環境)の様々な相互作用において生じる障壁・困難であるとする考え方だ。

 後半は、この「社会モデル」をベースに、20代男性障がい者の事例を考えた。まず「親の都合に左右されず外出や旅行に行きたい」「ボッチャでパラリンピックに出たい」「彼女を作りたい」の3グループに分かれ、①課題を実現する方法②実現する上でどんな人が必要か③実現する上で社会との間に生じる障害は何か④どのように乗り越えるか――を順次考えていった。

 彼女に見せる  “インスタ映え” する写真を撮る、通勤時間帯だけの障がい者専用車両が欲しい、福祉用具コンサルの仕事ができる、AI搭載の自動車があれば、など斬新な意見も飛び出した。参加した当事者、家族、支援者、リハビリ職、大学院生、元記者らユニークなメンバーが、夢の人生マップを語り合った。

 社会モデルで考えると障がい者が地域の中で自立した生活を営む可能性に目が向く。介護保険サービスも含めて支援の意味を考える参考になりそうだ。

2018年1月10日号

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