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千田透の時代を読む視点 (57) 外国人技能実習制度育成の支援策が必要だ [2018/05]2019年3月 1日17時00分

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【全国生活協同組合連合会 常務理事 千田 透(ちだ とおる)

 

 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が、昨年の11月1日に施行され、技能実習制度に「介護」が追加された。昨年末時点では、日本への入国に必要となる実習計画認定の申請が0件と、現場の期待に反して、制度の出だしはつまずいた格好だ。

 政府はその要因を日本語能力など、介護に設けた固有要件が厳しかったからだとみている。確かに日本語能力では、2年目で「N3」程度(1年目は「N4」程度)を要件に課しているため、受入れ側に、最初から「N3」程度の人に来てもらいたいという考えもあるのだろう。

 ただ、「N3」レベルだと、その日本語能力を活かして、介護以外の仕事を選択することもあり、その辺りのズレで、うまく人が集まっていないのかもしれない。

 けれども、送り出す側にしてみれば、来日に必要な条件はあくまで「N4」程度であり、「N3」レベルに引き上げるのは日本の役割だと思っているはずだ。最初から「N3」しか受け入れないといった考えだと、「話が違う」と不信感を持たれてしまうだろう。

 個人的には、「N3」レベルに引き上げるのは、受入れ側の役割だと思っているが、そこで抜け落ちているのが、「育成にかかるコストを誰がどうやって負担しているか」という視点だ。

 

 現状は日本語学校に通う費用や、日常生活の世話などのコストは、個人や事業所、施設任せになっている。さらに技能実習生の処遇については、省令で「日本人と同額以上」となっているので、技能実習生を受入れる場合は、日本人を雇い入れるよりもはるかに費用がかかるため、受入れ側が二の足を踏んでいるというのが実際のところであろう。

 本来、技能実習というのは、実習実施者や監理団体により行われるものなので、制度として育成にかかるコストの支援はない。ただ、今回の介護については、日本語能力などの固有要件を課してあるので、それを実施するための費用や環境については、何かしらの支援策があってしかるべきであろう。

 たとえば、外国人の留学生については、奨学金制度や法人による連帯保証の仕組みが整備されている。こうした仕組みを技能実習生についても創っていくことが必要だ。また、技能実習生は介護保険制度上で人員配置基準にカウントされるので、介護報酬で育成を図っていくための仕掛けを創っていくなどの発想があってもよい。

 技能実習制度については、在留期間を最長10年にする案や、介護福祉士資格を取得すれば、無期限で働き続けられるようにする案なども検討されている。

 しかしながら、「育成にかかるコストを誰がどうやって負担しているか」という視点がなければ、現場にうまく浸透していかないのではないだろうか。

2018年5月10日号

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