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インタビュー 全老健会長・東憲太郎氏 在宅復帰だけでない老健 [2018/01]2019年2月20日16時59分

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【2018同時改定へ 我々の主張

全国老人保健施設協会 会長 東憲太郎氏

 

多機能による「在宅支援」の評価を

  介護保険法で老健の定義に「在宅支援」の機能が明示された。在宅支援は「在宅復帰」と横並びで捉えがちだが、そうではない。入所時や退所後の支援も含めた多機能の集合体のことを指し、在宅復帰はあくまで在宅支援の一つの形だと我々は考える。

 多機能とは老健と、併設する訪問リハビリ、通所リハビリ、ショートステイなど。各サービスが連携しながら在宅支援を担う、こういった取組みに対する適切な評価を強く要望する。

 ただし、これらのサービスは「高機能」でなければならない。例えば通所リハビリは、多職種での会議等を通じて個別のリハビリ計画を作成・運用する「リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)」の算定状況などが指標となる。

 また、老健の短期入所療養介護はショートの中で唯一「個別リハビリテーション実施加算」が設けられている。単なる泊まり・預かりではなく、在宅で一時的に低下したADLを個別リハビリでしっかりと改善させ、再び在宅に戻す。これにより、従来の「医療機関→老健→自宅」に加え、「自宅→老健→自宅」というもう一つの在宅復帰も実現できることになる。

 在宅支援にはリハビリ専門職の充実もさることながら、それ以上に多職種によるチーム・リハビリテーションが重要だ。老健でのリハビリは1回20分を週3回の頻度。回復期病棟と比べてリハビリ専門職の関わりは薄い。そこを多職種が補い、かつ日常生活上のケアにリハビリ要素を取り入れる。

 排泄介助一つとっても、単なる作業で済ませるのではなく、利用者がどこまで自力でできるか、とアセスメントする視点を常に持つということだ。今回の改定案では、施設での排泄機能向上への評価が行われることになるが、在宅支援をめざす老健では既に実施してきたこと。こうした質の高い介護に報酬がつくことは大いに評価したい。

 在宅支援機能には、自法人内の連携だけでなく、他事業所との連携も当然含まれる。老健を退所し、通所リハビリ等を利用する場合、訪問介護や通所介護を併用する人も多い。リハマネ加算(Ⅱ)のリハビリ会議は、こうした関連事業所どうしが顔を合わせる場として、有効に活用してもらいたい。自宅からの入所等では、薬剤投与の適正化や栄養ケアの観点から、かかりつけ医と老健の医師との連携も非常に重要になってくるだろう。

 また、ケアマネジャーへは老健の機能・役割について、老健の側からきちんと説明し、理解していただくための連携がますます必要になる。居宅介護支援の「退院・退所加算」については、連携回数や医療機関・老健等でのカンファレンス参加を要件に、上乗せ評価を行う改定案が示されている。連携の一助として期待したい。

 

リスク予防が介護の質に

 介護の質を高めていくには、日々の介護や施設運営全体に係るリスクの予測・予防も極めて重要となる。全老健では独自に「介護老人保健施設リスクマネジャー」の資格認定制度を創設し、事前のリスク評価と事後対応を中心的に行う人材を養成している。これまで約2000人が認定を受け、事務長や看護師長、支援相談員などが多い。

 約30時間のカリキュラムと認定試験によるもので、転倒や感染、利用者のプライバシー、職員のメンタルヘルス、自然災害など老健を取り巻くさまざまなリスクを包括的に把握する内容となっている。タイムリーなところでは、外国人介護人材の受入れリスクもカリキュラムに含まれている。国が導入を促進するICTやロボットなど、介護現場の実態に応じた内容もアップデートしていくつもりだ。

 そして、現在検討中ではあるが、例えば全老健が評価機関となり、リスクマネジャーの配置や実際のマネジメントに基づく第三者評価のしくみを設ける。2018年改定には間に合わないが、評価を受けた老健は、介護報酬でも反映されるよう、求めていきたい。

 経営実態調査では老健の収支差率が3.4%という結果だったが、決して安定経営が維持できる数字ではない。新規開設の補助金がつかない老健は初期で10億円程度の借入れが発生する。これの返済を考えると、最低でも5~7%は必要だろう。

 全老健でも経営シミュレーションを行う予定だが、法人格の異なるサービスが横並びで、収支差率の数字だけが独り歩きしないよう、実態調査の精度はより高めてほしい。

2018年1月10日号

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