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施設サービスはどう変わっていくのか(38) 菊池雅洋:介護保険施設の食費標準負担額は適正な額といえるだろうか [2019/01]2019年6月24日08時00分

 

 2005年10月から利用者自己負担とされた介護保険施設の食費については、所得による区分第1段階~第3段階の対象者には特定入所者介護サービス費(補足給付)が支給され費用負担軽減措置が図られている。この補足給付を受けることができる条件として、食費の費用設定額が基準費用額を超えないこととされている。その費用は現在日額1380円である。

 第4段階の利用者については、もともと補足給付がないことから、基準費用額を超えて費用設定している施設も多いが、3段階までの人の設定費用をそれと同じくすると、補足給付が支給されず、費用負担ができずに施設入所が継続できない人も出てしまうために、ほとんどの施設は第3段階までの食費の額を基準費用額と同額として契約している。

 このように介護保険施設が利用者との契約により取り決める食費とは、食材料費と調理員の人件費とされている。一方で基準費用額の設定根拠は、総務省の家計調査であり、それが05年以降現在までも変わっていないとされている。しかしそこには人件費は含まれていないという矛盾がある。しかも05年当時と現在を比較すると、食材料費の大きな価格上昇はないとしても、調理員の人件費コストは上昇の一途をたどっている。

 調理を外部委託する施設も増えているが、調理受託専門業者も人手不足に陥って、人材・人員確保の費用負担が増えている。それはそのまま介護施設との調理委託契約料金の上昇にもつながっているわけで、実際に食事提供のコストは基準費用額を上回っている場合が多い。特に第3段階までの人が多く入所利用している既存型特養にとって、基準費用額と実際のコストとの差額は深刻な経営問題になっており、食費の基準費用額の見直しが特養の関係者から強く要望されている。

 もちろん、食費の基準費用額を引き上げることは、介護給付費の増加につながり、それは来年の消費税アップ分の報酬改定と合わせると、21年の介護報酬定時改定の足かせにもなりかねない。しかし施設運営に絶対必要なコストが、事実上施設の持ち出しとされている状況は今後の介護施設経営に大きく影響してくる問題であり、その額が適切なものなのかという是正議論は必要不可欠だろう。

 食事は利用者にとって最大の愉しみであり、なおかつそれは命の源で、健康を保つために必要不可欠なものである。そうした大切な食事提供の費用に対する施設の持ち出しが増えて、それが経営を圧迫するとして、食材を安くて品質の悪いものにしないとならないとしたら、それは利用者の愉しみを奪い、健康を奪う結果になりかねない。そのあたりの視点も含めて、適切な食費としての基準費用額を今一度考え直してほしものである。

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