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現場最前線の今 (137) 中山清司 より効果的・合理的な支援へ [2018/09]2019年3月27日00時22分

 

自閉症支援、ロングライフサポートの時代へ(14) 標準的アプローチで より効果的・合理的な支援へ

 レオ・カナー博士による自閉症の最初の症例報告から70数年、この間、様々な研究成果と現場における試行錯誤を経て、国際的に自閉症理解が進み、自閉症支援の標準的なアプローチが確立されてきた。

 英国自閉症協会では、それを「SPELL」というキーワードで整理している。

 S=Structure(構造化)、

 P=Positive(肯定的な対応と期待)、

 E=Empathy(共感)、

 L=Lowarousal(興奮を減らす)、

 L=Links(リンク)

 ――の5つが自閉症支援の中心となる。

 私たちは現在、自閉症の人を支援するにあたって、このような標準的なアプローチからスタートすることができる。自閉症支援の歴史的な針を戻す必要はないし、個人の思い付きや個人的な主義主張を戦わせる時代でもない。エビデンスベースで、最も有効なアプローチを確認し、それを現場で適用していけばいいのである。

 

 しかし、標準的なアプローチと言っても、個々の自閉症の人に機械的・パターン的にそれらを当てはめるものではない。自閉症の人、一人ひとりの実情・実態に合わせた個別プログラムが基本だ。自閉症の人には視覚的な手がかりが有効だからと言って、誰でも写真や絵カードで伝えるのがいいという訳ではない。写真や絵をよく理解できない人もいるが、写真や絵があることでそれに注意を向けすぎてしまって暮らしにくくなるケースもあるだろう。

 その意味で、一人ひとりの多様性や個人の希望・意向を尊重するために、評価(アセスメント)が必須となる。その人の障がい程度をはじめ、スキルとしては何ができるか、何が好きか、どういう学習スタイルなのかといったことを具体的に把握しておく必要がある。

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 評価に基づいて、その人の生活や学習を支援するための個別プログラムを作成・実施していく。図で示すように、個別プログラムは、Plan(計画)-Do(実施)-See(見直し)のプロセスで進展し、生活の質を高め、より豊かな生活の実現を目指していく。

 

 以上、これまでの議論を整理し、自閉症支援における標準的なアプロ―チをまとめれば、次の①~⑤になる。

 ①自閉症の特性理解

 ②SPELLを基本にした対応

 ③個別の評価と個別プログラムの提供

 ④一人ひとりの生活の質を高めていく

 ⑤ロングライフサポート

 我が国は少子高齢化のトレンドの中にいる。自閉症支援の担い手も相対的に先細りになることが予想される。今後は、どこの支援現場も、支援者の絶対数が確保できなかったり、ベテラン支援者だけで支援チームを構成することが難しくなるだろう(つまり、新任スタッフやパートタイムスタッフ、そして一般市民の方々が自閉症支援に携わることになる)。一方で、自閉症支援の標準的なアプローチは共通理解されるようになり、それが現場で実践され成果をあげつつある。

 つまり、これからの支援現場の戦略として、私たちは自閉症支援の標準的なアプローチを積極的に取り入れることが肝要だと言える。それは、歴史的な成果を受け入れるとともに、より効果的・合理的に自閉症支援に取り掛かることが可能になるからだ。つまり、これからは、誰もが自閉症支援に携わることができるようになる時代だと言える。

特定非営利活動法人 自閉症eサービス理事長 中山清司

2018年9月10日号

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