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現場最前線の今 (136) 中山清司 自閉症の特性に基づいた支援方法の確立 [2018/08]2019年3月27日00時16分

 

 自閉症支援、ロングライフサポートの時代へ(13) 

 

 自閉症の最初の症例報告から70年以上がたち、その間自閉症概念は大きく変遷を遂げることになる。大まかに整理すると、「精神病あるいは精神病質の一種」から「心因論=心を閉ざした状態」へ、そして「先天性の脳の器質的・機能的障害に起因した発達障害の1つ」としての知見が深まり、現在に至る。

 我が国の「発達障害者支援法」は2005年4月に施行されたが、そこでは発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現する」としている。

 歴史的に見て、自閉症概念は原因論・治療論の論争・混乱の時代から抜け出し、脳機能の偏りを前提にした診断・評価方法の精緻化とより有効な支援方法の模索へと移ってきたと言える。一方で、自閉症の医学的な原因・発症のメカニズムは未解明なままで、欧米を中心に遺伝子レベルの研究が進められている。

 

 これからの自閉症支援は、このような自閉症をめぐる歴史的な到達点をベースに、実践的なアプローチを模索し構築していかなければならない。自閉症概念をめぐる様々な誤解や偏見はいまだ根強いものがあるが、歴史的な検証はすでに十分なされているのである。

 英国自閉症協会では、自閉症支援の基本原則を「SPELL」の略称でまとめている。

 ▽Structure(構造化):予測可能で、過ごしやすく安心できる環境を用意する。視覚的に情報を伝える。そのことで、自律的・自立的に活動することを支援する。自閉症の人がより良く世の中のことを理解できるようになり、不安や混乱を減らす。

 ▽Positive(肯定的な対応と期待):適切な評価に基づいて、自閉症の人の強みや能力を見出し、可能性を広げる。

 ▽Empathy(共感):自閉症の人の独特の世界観(物の見方や捉え方、興味関心の向け方など)を、周囲が理解し肯定的に認める姿勢。

 ▽Low arousal(興奮を減らす):おだやかで秩序だった方法と環境を用意し、ストレスを招く感覚刺激を低減する。

 ▽Links(リンク):自閉症の人たち、家庭、支援者はパートナーであって、協同・連携し、その輪を広げていく。

 英国自閉症協会のホームページを見ると、このSPELLの考え方は米国ノースカロライナ州で展開されているTEACCHと補完的であることが明記されている。

 TEACCH 自閉症プログラムは、ノースカロライナ大学のエリック・ショプラー教授が1972年に創設し、州の公式プログラムとなって現在も発展している。

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 しばしば、TEACCHのメソッドとして、臨床場面・教育現場における構造化のアイデアが取り上げられることが多いが、構造化が自閉症特性に基づいた支援方法であることを見落としてはならない。例えば、想像力に困難さがあり視覚的な理解が得意な自閉症の人に、予定や見通しを伝えるために視覚的なスケジュールを使う()。スケジュールの提供は、自閉症支援の基本の1つだと言える。

 

 【訂正】前号当欄で「自閉症概念は、1942年、米国の児童精神科医レオ・カナ―による最初の症例報告から始まる」としましたが、カナー博士の当該論文「情動的交流の自閉的障害」は1943年に発表されたものでした。お詫びして訂正いたします。

 

特定非営利活動法人 自閉症eサービス理事長 中山清司

2018年8月10日号

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