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現場で役立つ "イライラ" コントロール術 (1) 田辺有理子 なぜ怒ってしまうの? [2018/08]2019年3月27日00時13分

 

 

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 自分の怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」に注目が集まっている。実際に取り入れた介護施設では、イライラした雰囲気が解消され、職員同士のコミュニケーションが増加。それまで年間13人ほどいた離職者がゼロになった。本号より3回にわたって、看護師として医療現場でアンガーマネジメントを実践してきた日本アンガーマネジメント協会の田辺有理子氏に解説いただく。

 

怒りは伝染する

アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで開発された、怒り(アンガー)の感情と上手に付合う(マネジメントする)ための心理トレーニングです。はじめて耳にする人は「怒らないこと」と思いがちですが、そうではありません。

 「言い過ぎた」「思ったことを言えなかった」など怒りによる後悔をしないために、自分が何に対して怒っているのか理解して、的確に相手に伝える手法です。

 怒りの感情はポジティブな感情よりも人に伝染しやすいです。事業所に1人でもイライラしている人がいると、職員はもちろん、利用者も不穏な空気を感じて、結果として事業所全体の雰囲気が悪くなってしまいます。

 介護労働安定センターの調査によると、介護現場での離職の理由は「人間関係(23.9%)」が最も多くなっています。実際にアンガーマネジメントに取組んだ介護施設では、職員同士のコミュニケーションが増え、落ち着いて仕事ができるようになりました。

 ケアの質が向上するとともに、最終的には離職防止に繋がっています。

怒りの裏側を探そう

 「怒り」は二次感情といわれています。心をコップに例えて、そこに流れて入ってくる水を一次感情だとします。水には「不安」「辛い」「寂しい」という気持ちが含まれ、この水が溜まって溢れたのが「怒り」という二次感情です。つまり、「怒り」に至るまでに原因があるということです。

 介護現場でいうと「夜勤続きで疲れている」「一人でのケアが不安」など要因は様々あると思います。そこで怒りの感情が湧いたら、まず「疲れは溜まっていないか」「不安はなかったか」など思い返してみてください。

 これは自分以外にも活用できます。例えば、いつも優しいのにイライラしている利用者がいたら、「不安があるのかも」と原因を探して理解することで、反射的に怒ってしまうことを予防できます。

怒り=期待

 怒りは家族など身近な人や、上から下の関係でより強く出る傾向があります。怒りが湧くということは、その人に対して期待しているという一面もあります。介護現場では、利用者に頼られることもあると思います。利用者と身近な関係になり過ぎないように、適度な距離感を保つことも重要です。

注意しよう! 怒りの4タイプ

 怒るときに ①激しく怒鳴るなど怒りの強度が高い ②ずっと文句を言う等、頻度が高い ③嫌な出来事が忘れられず持続する ④物にあたる、暴力をふるって攻撃する(虐待など)――の4タイプにあてはまる人は注意が必要です。

 対処法は①の場合、白黒つける思考ですが、中間のグレーがあることを意識する。②は怒らなくてもいいことは目をつぶって受け流す。③は怒りが長引いたらリセットして気持ちを切り替える。④は虐待や不適切ケア、ハラスメントや職員間のいじめなど人間関係にも影響します。怒ってから自分を責める場合もあるので、「他人・自分を傷つけない」「物にあたらない」と自分ルールを決めるといいでしょう。

 アンガーマネジメントでは、「怒り=悪」とするわけではありません。怒りの背景を理解して不必要な怒りをもたないことです。感情を理解するのに慣れてきたら、心のコップに溜まった水をこぼす(リフレッシュ)、コップそのものを大きくする(許容量を広げる)など自分に合ったやり方を見つけることが大切です。

 次回は怒りが出てしまったときにすぐに実践できる対処方法をご紹介します。

 

日本アンガーマネジメント協会 シニアファシリテーター 田辺有理子

2018年8月10日号

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