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白澤教授のケアマネジメント快刀乱麻 財源問題の解決に向けて [2019/02] 2019年6月25日08時00分

 

介護保険制度改革の長期的展望 (1) 

 介護保険制度が創設され19年目を迎えようとしているが、介護保険財源が上昇し続けており、財源が限界点に達しつつある。同時に、介護人材の確保が困難を極めている。制度に横たわる深刻なこれら2つの課題に焦点を当てて、いかに活路を見いだしていくべきかを、長期的な展望に立って検討する必要がある。

 介護保険制度は2000年4月から始まったが、開始時と17年4月末で比較すると、認定者数は218万人から633万人と2.9倍になっている。また、介護サービス利用者数は149万人から496万人と3.3倍になっている。このことは、介護保険制度が多くの介護が必要な高齢者に活用され、定着してきたこととして、まずは評価されるべきである。

 一方、介護保険財源は租税と保険料が折半になっており、保険料は、65歳以上の第1号被保険者の場合には、制度が始まった第1期では全国平均月2911円であったものが、18年からの第7期の現在では5869円となっている。さらに、20年度には6711円、25年には8165円になると予測されている。保険料は、高齢者が支払える限界に近くなりつつある。

 厚生労働省の介護保険制度の予測は25年までで留まっているが、団塊ジュニア世代が75歳以上となる50年代初めには、75歳以上人口がピークに達する。総人口が減少しているにも関わらず、今後30年ほどは75歳以上の後期高齢者が増加していく。さらに生産年齢人口を含めた人口減少が著しく、介護保険や医療保険の利用層である後期高齢者が占める割合が増加していく以上、認定者数、介護サービス利用者数、保険料はさらに増加率が高まることになる。

 そのため介護保険財源の問題は大きく、それなりに改革はなされてはいる。第一には、一部の高齢者に対して自己負担率を2割や3割にあげてきた。第二には、17年4月に全市町村で始まった総合事業で、訪問介護や通所介護の基準を緩和し、住民の互助で行う生活支援サービスを整備することで、財源の抑制を図ろうとしてきた。

 介護保険制度は団塊の世代が75歳以上になる25年をゴールにして検討されているきらいがあるが、さらに人口減少が進み、後期高齢者が4人に1人となる55年を視野に入れたシナリオに移行していくことが求められる。

 一方で、新たに「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」が16年7月に立ち上がった。「丸ごと」とは、従来の縦割りによる相談や支援から世代横断的な相談と支援体制を確立することである。これへの対応として、相談体制の構築や、障害者や高齢者が共に利用できる訪問介護、通所介護、短期入所といった共生型サービスが出来てきた。

 「丸ごと」の究極の課題として、高齢障害者の問題がある。障害者は65歳になると、保険優先の原理により、障害者総合支援法の障害福祉サービスから介護保険サービスの利用に代わることになる。その際に、障害区分認定から要介護認定に代わり、再度認定を受けなければならない。さらに、ケアプランの作成は相談支援専門員から介護支援専門員に移行する。そのため、高齢障害者の生活の連続性が図れることが、「丸ごと」の最終的な課題である。

 以上のような、障害者と高齢者の生活の連続性を確保し、かつ財源問題を打開するうえで、介護保険制度を全世代が利用できる仕組みにする必要がある。ドイツの介護保険は0歳からを対象にし、20歳以上が被保険者となる保険である。スウェーデンで介護サービスを提供するソーシャルサービス法も全世代を対象にしている。介護サービスに対するニーズは年齢に関係なく、全ての世代にあり、ニーズに合わせて介護保険制度は再編成立されるべきである。

 当然、日本での被保険者は65歳以上の第1号被保険者、40歳以上65歳未満の第2号被保険者に加えて、20歳以上40歳未満の第3号被保険者を創設することになる。この第3号被保険者は自らやその親の介護事故リスクは少ないことから、保険料は第2号被保険者よりも低く抑えるべきである。このことこそが、多世代が協力し合う「我が事・丸ごと」での地域共生社会づくりの基本であるといえる。

 そのためには、被保険者となる20歳から39歳の人々、さらには保険料の半分を折半することになる事業主にも理解を得るべく、舵をきるべきである。

 一方、障害者からの理解も不可欠である。現在の障害者総合支援法での福祉サービスの利用は、介護保険同様に原則1割の自己負担であり、両者間での整合性は十分につけることができる。但し、障害者総合支援法では、広い幅のボーダーライン層について利用料が無料という仕組みになっており、こうしたことを継承し、高齢障害者が不利にならない対応が求められる。

 それは、介護保険制度は保険料と租税が折半で投入されており、保険と租税のミックス型であるため、両者のメリットを活かしながら、一体化を検討することが可能であるといえる。そうすることで、20歳から39歳の第3号被保険者からの保険料の確保が図られ、同時に0歳から100歳の丸ごと対応を可能にすることができる。

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