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現場最前線の今 (129) 中山清司 自閉症の青年とその両親のケースから (1) [2018/01] 2019年2月21日16時55分

自閉症支援、ロングライフサポートの時代へ(6):自閉症の青年とその両親のケースから (1)

特定非営利活動法人 自閉症eサービス理事長 中山清司

 

 自閉症の人の支援の射程は、幼児期・学齢期から青年期・成人期へ、さらには壮年期・高齢期へとライフステージの時間軸が伸びてきた。さらには、行動障害の激しい人の施設での暮らしや高齢化の問題、引きこもり状態の高機能自閉症の人たちの潜在的ニードへの対応。つまり、新たな入所施設ができない状況での、中長期にわたる在宅生活支援の仕組みづくりの仕事が、面的・量的にも広がりを見せている。ロングライフサポートを意識した支援体制の構築が急がれるところである。

 

 ある一人の青年の事例を通して、彼のロングライフサポートをどのように構築していけばいいかを考えてみよう。仮にこの青年を「ヒロシさん」と呼んでおく。

 ヒロシさんは20代後半、最重度の自閉症の青年だ。話し言葉はなく、家の中にある衣類や食べ物へのこだわりが強く、気になるものがあるとそれを窓から捨ててしまったり、生ものでも食べてしまったりする。落ち着きがなく、家の中でもウロウロと歩き回っていることが多い。一人では留守番することはできず、家族がいても興奮して家から飛び出てしまうこともあるので、家族は四六時中目が離せない。

 ヒロシさんは2歳ごろに診断を受け、母子通園や自閉症専門の療育機関で療育を受けてきた。学齢期は支援学校に通学していたが、中学部のころから自傷や破壊行動が目立つようになり、先生がいつも付き添って授業を受けさせるようになる。家でも対応が難しくなってきたため、ガイドヘルパーを利用して外出する時間を多く持つようにした。しかし、外出中も、店に入りこんで商品を勝手に取ってしまうなどのトラブルが何度かあった。

 何とか高等部を卒業する時期になって、家族は「このままでは家では見られない。いずれ施設入所を希望したい」と思うようになり、福祉事務所に相談に行った。しかし、福祉事務所の担当者からは「今はどこの施設も満員で入所はできません。いろいろな在宅サービスがありますから、それらを利用して家で暮らすことを考えてください」と言われてしまった。結局、地域にある通所サービスの生活介護事業所と契約し、月曜日から金曜日はそこに通い、夕方や休日の時間帯はガイドヘルパーを利用することにした。

 

 現在、支援学校を卒業して約10年が経ったところだ。ヒロシさんはもうすぐ30歳、父親は来年、定年を迎える。最近、地方に暮らす祖父母の介護や入院のことで、父親も母親も実家を往来することが増えた。そのたびに、ヒロシさんは家から車で1時間程度離れた場所にある入所施設に併設されているショートステイを利用している。しかし、ショートステイから戻ってくると、決まって、ヒロシさんは2~3日不眠になるという。

 最近の悩み事は、生活介護の事業所でヒロシさんがパニックになることだ。他の利用者を叩いたり、職員がケガをすることが何度かあった。また、ガイドヘルパーが見つからずガイドが急に中止になったり、ショートステイの予約が取れず、日常生活の予定が立てられないことも。両親には持病があり、自身の高齢化と祖父母の介護のことで、この先もヒロシさんを家庭で見ていくことに強く不安を感じている。

 計画相談事業が始まり、専門相談員が入るようになって、ヒロシさんのサービス等支援計画ができあがってきた。週間計画表をみると、昼間は生活介護事業所に通い、夕方や休日はガイドヘルプを利用し、月に1回はショートステイで外泊をすることになっている。親は、「確かに今の生活を維持するには、これらの福祉サービスを組み合わせて利用しているからその通りなのです。しかし、生活介護の事業所でパニックを起こすことや、ガイドヘルプやショートステイが希望通り利用できないこと、そして将来の不安は何も解消されていません」と言う。もし親が倒れたら、ヒロシさんの生活は大丈夫なんだろうかと、真剣に悩まれている。(続く)

2018年1月10日号

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