ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

その他コラム
シニア住まい塾《119》災害は高齢者の考えを変える2017年4月18日17時20分

0421senior.jpg 3月11日の東日本大震災を特集したテレビ番組を観ていて、あらためていろいろ考えさせられました。

 日本では、大雨、地震、河川の氾濫などの災害が次々と起きています。昨年は神奈川県にも大きな台風がダブルで押し寄せました。

 災害後、「シニア住まい塾」には切羽詰まった相談が寄せられるようになっています。最期まで自宅での生活を望んでいた人たちの、意見が変わってきたのです。

 「私は近所と深い付き合いはしていないので、何かあった時に足の悪い私をおぶって逃げてくれる人なんていません。だから今のうちに施設に入ろうと思います」「災害後に水がでなくなって配給の水を並んでもらっている人たちをテレビで見ました。私は杖歩行なので並ぶことも、重い水を持つこともできません。普段からペットボトルのお水は用意するようにしていますが、足りなくなったらどうしよう」などリアルな声が。

 また、「私は学校の体育館のような避難所には行きたくない。一時的にしろ、トイレやお風呂が共同の所には住めないです。海から離れた高いところにある施設でコンクリートの頑丈なホームに入りたい」「避難所のそばのがれきの中からハエが一杯わいてくるのをテレビで見ました。そんな所にはとても住めません。清潔な有料老人ホームで職員が面倒を見てくれる所に入りたい」「津波は車や家までも飲み込んでおそって来るのをテレビでみました。私の家は藤沢の海寄りです。それまで一瞬で死ねるならいいと思っていましたが、あんな黒い塊みたいな勢いを見たら恐ろしい。安全な施設に入りたい」という、切実な相談が増えてきたのです。

 ひとりで最期までと言っていた方たちが、こんな風に変わってきたのです。環境や世の中の情勢、災害によって気持ちが変わるというのをしみじみと感じます。

 あるグループホームの話です。台風時に川の水が溢れて雨水が道路を覆い、冠水しました。市役所からは避難して下さいとメールや放送がひっきりなしに入りましたが、避難するように、といわれても道路が冠水して動けません。どうやって避難すれば良いのか、こちらから市役所に電話しても電話線が混んでいてまったくつながりませんでした。

 市役所の人がゴムボートで迎えに来てくれるのか?グループホームの職員が入居者をおぶって逃げろというのか?水の勢いがあるから、女性職員は自分だけでも危なくて、お年寄りをおぶえません。

 こういうときに備えてゴムボートを備えておけばよいのか?ゴムボートは安全なのか、ゴムボートに乗る練習をするところがあるのか?このグループホームは、災害時には地域のお年寄りの避難場所になっている建物です。むしろ地域のお年寄りがここに逃げてくる場所です。

 でもひとり暮らしの近所のお年寄りが、冠水した道路を渡ってくるなんてことはできません。迎えに行けと言われても、膝上まで水がくると大の男でも水流に押されてしまうでしょう。

 災害時は、めったにないことが起きます。夜間はどこの施設も職員が少ないです。避難方法や地域のお年寄りをどうやって守るか、各施設とも行政の人や自治会の人も交えて、しっかり話し合っておくことが大事だと思います。

 今は、どこの施設も家族への連絡はメールで通じるようにしてあり、非常食は数日分はそろえてあり、賞味期限前に必ずチェックして卓上コンロでの料理も試みています。また、町内の75歳以上の人も受け入れると町内会長には伝え、とっさの場合に間に合うように入居者個々の薬は控えておき、簡易トイレも備えてあるなど、様々な準備をしています。

 しかしそれだけで足りるものでしょうか。「心」はなかなか追いつかないかもしれません。

「その他コラム」カテゴリーの最新記事

シルバー産業新聞購読のご案内

発展する「シニアマーケット」の動向など、確かな業界情報はシルバー産業新聞から。

1年間(12回)
7,700円(送料・税込)
2年間(24回)
14,214円(送料・税込)
3年間(36回)
19,545円(送料・税込)

購読、書籍のお申込みはコチラ

  • 福祉住環境コーディネーター検定試験
  • SSL グローバルサインのサイトシール