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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載522016年9月 1日08時10分

要介護1,2になる原因は認知症がトップ

1. 要介護1、2になる原因は①認知症②老衰

 2013年の国民生活基礎調査によると、要介護1に認定された原因は1番目が認知症、2番目に老衰、3番目は脳血管疾患である。

 05年の介護保険法改正で、要介護1に認定された人は、原則要支援2に移動することになった。その際に、「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上」と「半年以内に状態の悪化が文章上明記された人」は要介護1に残ったのである。そのため、要介護1になる原因で認知症がトップなのは当然だが、要介護2になる原因も同様である。

 要介護1、2で歩くことができる認知症者の行方不明者数が年間1,400人に達している現状では、介護が必要である。また、自分で食べることができる認知症者では、食べられないものを口にしたり、何回も食べてしまう人や薬の管理ができない人もいる。また、年齢が高い老衰の場合には、熱中症や誤嚥のリスクがあり介護が不可欠である。介護保険給付から外せば、悪化するのは明確である。総合事業で時間や回数を減らせば、家族に負担がかかってしまう。

2. 要介護1、2の訪問介護の63%の生活援助を自費にするのか

0703hattori.jpg 16年3月の介護保険の利用者は、総合事業へ移行した1%を除いて、514万8,400人いる。介護度別に見ると要支援~要介護2までが全体の61%を占める(16年3月審査分、介護給付費実態調査)。その中で、訪問介護サービスを利用している人は全利用者の27.1%にあたる139万6,700人である。要介護1と2の訪問介護の回数をサービス内容別に見ると、グラフ1のように、生活支援サービスが全提供回数のうち63%利用されている。

 これを自費にすると、現金で払える人がどれほどいるか国は調べたのだろうか。介護保険受給者の73%は80歳以上である。特に要介護1、2では要介護4や5に比べ独居が多いのである。台所に立って調理ができない人や、トイレや風呂場で屈んで掃除できない人が多いのである。一人で杖をついて買い物に行けない人も多いのである。

3. 生活援助に求められる専門性

 生活援助は専門性がなく、誰でもできるように解釈されている傾向がある。しかし訪問介護は、ヘルパー1、2級、介護福祉士しかサービス提供ができないのである。

 訪問介護事業所に、その業務内容の専門性をどう認識しているか尋ねた調査(グラフ2)では、食事介助や排泄、入浴介助でも半数以上の事業所が「介護に対する基本的な知識、技術を備えた者であればできる」と考えている。これは、介護福祉士や認定介護福祉士でなくても、ヘルパー1、2級でできることを示している。経験が浅い介護職では難しい場合もあることを示しているのである。

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 それを「誰でもできる」ように拡大解釈することは危険である。また、20分未満の生活援助のサービス提供は認められていない。状態を観察し、異常を発見し、転倒や誤嚥や肺炎の兆しを見つけ、サービス提供責任者から、ケアマネジャーや他職種につなげる支援を前提にした生活援助であることも、忘れてはならないと思う。

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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