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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載512016年8月30日08時10分

高齢期の安心と幸福につながる介護保険にしよう

 1.在宅サービス外しは介護難民を生み出す

 介護保険のサービス利用者は509万9,700人で、その73%が居宅でサービスを利用している。利用者の半分はケアマネジャーがケアプランを作成し、21%は地域包括支援センターが予防プランを作成し居宅で介護を受けている。特養ホーム、老人保健施設、療養型医療施設あわせて19%で、介護保険のケア付き住宅が8%である。介護保険の利用者の要介護度を見ると要支援から要介護2までが61%である。

0603hattori.jpg この61%の介護保険利用者を「軽度者」と決めつけ、来年国が予定している介護保険法改正で介護保険サービスから市町村事業へ移行し、給付額を下げようとしているのである。居宅で利用されている介護サービスは通所介護と福祉用具、訪問介護が三大サービスである。この在宅を支えるサービスの通所介護の75%、訪問介護の73%を介護保険給付から外し、市町村事業へ移行させれば、介護困窮者を生み出すことは明確である。要支援者の移行でも市町村が対応できず、混乱している実態がある。

 福祉用具では歩行器の73、手すりの72%、特殊ベッドの40%、車いすの34%が自費になれば、自立支援が損なわれる。そのための介護保険ではなかったのか。「認知症の人と家族の会」は現行制度を維持するよう申し入れをしている。

2.介護事業者・介護職の困窮は高齢期の幸せにつながらない

 2015年の報酬改定で通所介護や訪問介護の減額は経営に影響を与えた。政策金融公庫の報酬改定後の調査では訪問介護事業所の47.6%、通所介護事業所の42.7%が経営赤字になっている。さらに追い打ちを掛けるように介護人材の不足が事業に影響を与えている。特に在宅を訪問しケアするヘルパー不足は深刻である。

0603hattori2.jpg 不足の理由は「採用困難」が72.2%であり、その原因は「賃金が安い」61.3%、「仕事がきつい」49.3%、「社会的評価が低い」38.2%が三大原因である。特に給与はグラフ2のように、全産業平均より月額10万円以上安く、子どもの学費や自分の将来を考えると、「人に関わる仕事が好き」と介護を選んだ介護職が継続できない低賃金がある。上げられない理由は介護報酬の減額である。

3.サービスの選択、自己決定を主張しよう

 地域包括ケアで国が補助金を付け誘導しようとしている小規模多機能や看護小規模多機能、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は事業所数も伸びず、全ての利用者ニーズが合致しているとは言えない。利用者が生活実態やニーズに合わせてサービスが選択でき、自己決定できるのが介護保険の理念である。

 三重県議会が福祉用具や住宅改修の軽度者自費の反対を決議し、国に再考を求めている。日本介護支援専門員協会も利用者調査を全国でしている。私たちはできることから利用者の声を国に届け、代弁していくことが日本の介護を守ることだと考える。高齢期の安心と幸福につながる介護保険にしよう。

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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