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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載482016年8月22日08時05分

介護支援事業所の存続危機は利用者の危機に通じる

1.2年後には総合事業へ移行し、予防プランの85%がケアプランから消える

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 介護保険の利用者は500万人を超えた。居宅で74%がサービスを利用しており、内訳は要支援22%、要介護1~5が50%、パッケージ型サービスの小規模多機能と複合型(看護小規模多機能)が2%、4月からの総合事業が0.4%である(グラフ1)。

 予防支援の対象である要支援109万人の85%が利用している予防訪問介護と予防通所介護があと2年で総合事業に移行する。総合事業のケアプランは地域包括支援センターが作成し、居宅介護支援事業所に委託される場合でも、介護保険のケアプランではなくなる。要介護2までを総合事業に移行するとケアプランの64%がなくなる。

2.要介護2までを総合事業に移行するとケアプランの64%がなくなる

 財務省は来年、介護保険法を改正し、次の改定では要支援~要介護2までを市町村の総合事業へ移行する方針を打ち出した。予防プランに加えて2015年11月審査分で252万3,900件のケアプランのうち、要介護1と要介護2は63%を占めている(グラフ2)。この160万件のプランがなくなるのである。

3.ケアプラン数は9年前の水準に至らず

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 介護保険の利用者増加に合わせてケアプラン数は増加してきたが、06年の介護保険制度改正で33%を占めていた要介護1が要支援2に変わり、ケアプランから外れた。認定更新のたびに地域包括支援センターに移行し、その後も要介護1は認知症と半年以内の悪化が明らかでないと要支援2と認定されるため、ケアマネジャーの作成するケアプラン数は大きく減った。06年3月に249万9,600件のケアプランが、15年3月では245万6,900件と、9年経過しても戻っていないのである(グラフ3)。

 このようなケアプラン数の減少と反対に、居宅介護支援事業所は06年の3万387カ所から15年4月審査分時点で3万8,541カ所と8,000カ所以上増加した。サービス付き高齢者向け住宅などへの居宅介護支援事業所の併設などが要因だ。

 その結果、居宅介護支援事業所は介護保険開始から15年間、赤字経営を強いられているのである。そして次期改定で要介護1、2の分の63%が減れば、居宅介護支援事業所は存続の危機になる。

4.地域包括ケアでは居宅介護支援事業所から外し、ケアマネジメント報酬を新設

 加えて介護保険法改正に合わせて導入された、小規模多機能や看護小規模多機能では、それまでの担当ケアマネジャーが外れ、そのサービスのケアマネジャーがプラン作成する包括報酬が導入され、今後も拡大の方向である。さらに、15年の報酬改定では、これらのパッケージ型サービスに、外付け(限度額枠外)で「総合マネジメント体制強化加算」1万円が付き、ケアマネジャー外しとケアマネジメント費用の新設が行われてきたのである。パッケージ型サービスは要介護度で報酬が決まり、給付管理が簡便である。加えて住宅改修や福祉用具が自費になれば給付管理は簡便になる。

5.居宅介護支援のソーシャルワークが個別利用者を支えてきた

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 ケアマネジメントは介護保険の居宅利用者の一人ひとりの状態悪化を予防し、健康状態を維持改善し、介護サービスや住宅改修、福祉用具、リハビリや看護を導入調整してきた。医療は医師が判断して治療計画を作るが、介護は生活であり、年齢、家族、経済、生活歴など個別性のある利用者の自己決定を支援する専門的サポーターがケアマネジャーである。利用者の生活の目標を実現するためのサービスの役割分担をし、状況をモニタリングし、介護者を支援する、人生の最後までの伴走者である。

 要介護1は認知症や状態が不安定な人も多く、要介護2は在宅生活の継続できる支援を医療・看護・薬剤・歯科・介護・地域資源など多様な組み合わせとタイミングに即した導入、調整が不可欠である。介護保険の要を外せば利用者の生活継続が危機に陥ることは明らかである。

 逆にケアマネジャーを支援、育成してより長く在宅で暮らし続けることができれば利用者の希望に沿うことができ、介護給付も下がり、保険者も喜ぶのである。ケアマネジャーは利用者の声を代弁し、この改悪を阻止しよう。

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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