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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載472016年8月18日08時10分

次期改定の介護給付抑制に対して利用者の声を代弁しよう

1 財務省の給付抑制政策

 2015年6月、財務省は「財政健全化計画」で、来年の介護保険法の制度改正と今後の介護保険サービスに対して、大幅な給付削減策を打ち出した。介護サービスに関する主な内容は次の3点だ。

 ①要支援~要介護2までの軽度者の生活援助、福祉用具、住宅改修は原則自費

 ②要支援~要介護2までの軽度者向けサービスは地域支援事業へ移行する

 ③2割負担の対象拡大(65~74歳の前期高齢者と75歳以上も収入の見直し)

 これらは16年中に詳細をつめ、翌17年中に介護保険法を改正し、18年度からの次期改定に具体化する方向だ。

 すでに介護保険利用者の21%を占める要支援の訪問介護と通所介護のサービスは、3年以内に市町村の総合事業に移行することが具体化され、その時点からケアマネジャーが受託していた予防プランはケアプランの数から除かれる。

2 訪問介護、通所介護、福祉用具は事業継続の危機

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 15年11月に財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は16年度予算の編成に関する建議を取りまとめ、17年度介護保険法改正⇒次期改定で実施をするなど、スケジュールが出された。

 それに対する厚生労働省の考えは表にまとめたが、「サービスごとに検討する」との見解は、サービスにより介護給付から外されるということだ。現実に訪問介護の73%、通所介護の75%、福祉用具の65%、ケアマネジメントの63%が、要支援~要介護2になっているのが実態だ。これらが介護給付から外れ、総合事業になると事業所は経営が成り立たない。

3 要支援~要介護2の介護給付を外せば介護難民が拡大する

 居宅サービス利用者の73%が要支援~要介護2であり、総合事業では専門職による個別の状況に即したサービスが受けられない。市町村格差が拡大し、自費サービスの購入になるか、家族の介護負担増になることは明白だ。

 福祉用具は要介護1、2ほど自立支援のために必要だ。認知症者が増える中で要介護1、2の訪問介護、機能訓練や家族レスパイトの役割を果たす通所介護は不可欠だ。そのための介護保険であり、抑制すれば介護難民が増加する。

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 地域包括ケアでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能や看護を含めたパッケージ型の包括報酬に誘導されている。1つの事業所がまとめて数種のサービスを提供すると効率的であるとして、いずれ報酬削減が行われる。利用者の生活に即したサービスの選択性が奪われ、大規模事業のみが生き残ることになる。

 福祉用具では事業者団体を通じて「利用者の声を代弁するケアマネジャーのサービス継続署名」が始まっている。訪問介護や通所介護も、利用者や介護者の声を代弁していくことが急務だろう。 

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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